2026.02.27
不動産ガイド

中古住宅の住宅ローン審査を通すための完全ガイド

目次

1. はじめに|中古住宅の住宅ローン審査は新築と何が違う?

「気に入った中古住宅が見つかったのに、住宅ローンの審査が通らなかった」――こんな経験をされた方、あるいはそうなるのではと不安を抱えている方は少なくありません。

不動産業界で16年、数百件の中古住宅売買に携わってきた私の体感では、中古住宅の住宅ローン審査は、新築と比べて「物件そのものの評価」でつまずくケースが圧倒的に多いのが実情です。新築住宅なら、建物の担保評価(金融機関が「この建物にいくらの価値があるか」を判断すること)で問題になることはほとんどありません。しかし中古住宅では、築年数や耐震性、法令への適合状況など、物件側の要因で審査が厳しくなることがあるのです。

国土交通省の「住宅市場動向調査(令和6年度)」によると、中古戸建ての購入者のうち住宅ローンを利用した方は約7割。そして住宅金融支援機構のデータでは、中古住宅向けローンの審査否決率は新築の約1.5倍とも言われています。つまり、事前の準備と対策なしに挑むと、審査で苦戦する可能性は十分にあるということです。

でも安心してください。審査に通りにくいポイントを事前に知り、適切な対策を講じれば、中古住宅でも住宅ローンを利用して購入することは十分に可能です。この記事では、審査で見られるポイント、通りにくい物件の特徴、そして審査を通すための具体的な5つの対策をまとめました。これから中古住宅の購入を検討されている皆さんの参考になれば幸いです。

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2. 中古住宅の住宅ローン審査で見られるポイント

住宅ローンの審査では、大きく分けて「借りる人の信用力」と「物件の担保価値」の2つが評価されます。新築でも中古でも借りる人の審査基準は基本的に同じですが、中古住宅では物件側の審査が加わる分、ハードルが上がります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1. 築年数と建物の残存耐用年数

金融機関は木造住宅の法定耐用年数を22年としています。築年数が22年を超えると、税務上の建物評価はほぼゼロ。そのため、担保としての評価も大きく下がり、借入可能額が希望額に届かないケースが出てきます。

ただし、これはあくまで税法上の年数です。実際には適切にメンテナンスされた木造住宅は50年以上住めることもあります。金融機関によっては独自の評価基準を持っているところもあるので、「築年数=アウト」と諦める必要はありません。

2-2. 耐震性(旧耐震か新耐震か)

1981年(昭和56年)6月以降に建築確認を受けた建物は新耐震基準、それ以前のものは旧耐震基準に分類されます。旧耐震基準の建物は、多くの金融機関で審査が厳格化されるか、そもそも融資対象外とされることがあります。

ここで注意していただきたいのが、「築年月」と「建築確認日」は異なるという点です。建築確認は着工前に受けるものですから、1982年築でも旧耐震基準の場合があるのです。登記簿だけでなく、確認済証(建築確認が下りた際の証明書)の日付を確認することが重要です。

2-3. 担保評価(土地+建物の総合評価)

金融機関は独自の評価方法で物件の担保価値を算出します。中古住宅の場合、土地の評価額が融資判断の要になることが多いです。建物の評価は築年数に応じて下がりますが、土地の価値は立地によって維持されるためです。

実際の現場では、「物件価格3,000万円だが、金融機関の担保評価は2,500万円」というようなケースは珍しくありません。この場合、差額の500万円は自己資金で補うか、別の方法を検討する必要が出てきます。

2-4. 借入者の属性(年収・勤続年数・信用情報)

物件側だけでなく、もちろん借りる方ご自身の審査もあります。主に見られるのは以下の項目です。

  • 年収:年間返済額が年収の30〜35%以内に収まるか(返済負担率)
  • 勤続年数:一般的に同一勤務先に2年以上が望ましい
  • 信用情報:過去のクレジットカードやローンの延滞履歴がないか
  • 他の借入:自動車ローン、カードローンなど既存の借入額
  • 健康状態:団体信用生命保険(団信)に加入できるか

私のお客様でも、「物件は問題ないのに、携帯電話の分割払いの延滞が信用情報に残っていて審査に落ちた」というケースがありました。意外な落とし穴ですので、心当たりのある方は事前にご自身の信用情報を確認されることをおすすめします(CICやJICCで本人開示請求が可能です)。

3. 審査に通りにくい中古住宅の特徴

次に、住宅ローンの審査が特に厳しくなる物件の特徴を具体的にお伝えします。物件探しの段階で知っておくと、「せっかく気に入ったのにローンが組めない」というリスクを減らすことができます。

3-1. 旧耐震基準の建物(1981年5月以前の建築確認)

先ほども触れましたが、旧耐震基準の建物は多くの金融機関で融資対象外、または融資条件が厳しくなるのが実情です。特にメガバンク(みずほ・三菱UFJ・三井住友など大手銀行)では、旧耐震物件を融資対象から外しているケースが少なくありません。

3-2. 再建築不可物件

再建築不可(さいけんちくふか)とは、現在の建物を解体した後に新しい建物を建てることができない土地のことです。建築基準法では、敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していないと建物を建てられないルール(接道義務)があります。この条件を満たさない土地は再建築不可となり、ほとんどの金融機関で住宅ローンの対象外です。

再建築不可物件は相場より大幅に安い価格で売りに出されることが多いため魅力的に見えますが、ローンが組めないだけでなく、将来の売却も困難になる点を理解しておきましょう。

3-3. 違反建築・既存不適格

違反建築とは、建築確認を受けずに建てた、あるいは確認を受けた内容と異なる増改築をした建物のことです。これは明確に法律違反ですから、金融機関は融資を行いません。

一方、既存不適格(きぞんふてきかく)は、建築当時は法律に適合していたものの、その後の法改正によって現行の基準を満たさなくなった建物です。例えば、建ぺい率(敷地面積に対する建物の建築面積の割合)や容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)がオーバーしているケースです。既存不適格は違法ではありませんが、審査が慎重になる傾向があります。

3-4. 接道不足・私道トラブル

敷地が公道に面していない、あるいは私道(個人が所有する道路)にしか接していない場合も注意が必要です。特に私道の持分がない場合は、将来的にインフラ工事や建て替え時にトラブルになる可能性があるため、金融機関が慎重な姿勢を取ることがあります。

3-5. 築古で検査済証がない物件

検査済証(けんさずみしょう)とは、建物の完成後に行政の検査を受けて合格したことを証明する書類です。特に1990年代以前の物件では検査済証がないケースが全体の半数近くにのぼります。検査済証がないと「建築確認通りに建てられたか証明できない」ため、金融機関が融資に消極的になることがあります。

施工現場からのアドバイス

以前、私のお客様で「築35年の旧耐震物件を購入したい」という方がいらっしゃいました。立地が良く、建物もきれいにリフォームされていたのですが、3つのメガバンクすべてで住宅ローンの審査に通りませんでした。

そこで、耐震診断を実施し、耐震補強工事を前提としたリフォーム一体型ローンを地元の信用金庫に相談したところ、見事に審査が通りました。物件価格2,800万円に耐震補強とリフォームの600万円を上乗せした3,400万円のローンです。耐震基準適合証明書を取得できたことで住宅ローン減税も使え、お客様には大変喜んでいただけました。

「審査に落ちた=その物件は買えない」ではありません。金融機関を変える、ローンの種類を変える、物件の条件を改善する――この3つのアプローチを組み合わせることで、道が開けるケースは多いのです。

4. 審査を通すための5つの対策

ここからが本題です。中古住宅の住宅ローン審査をクリアするための具体的な対策を5つご紹介します。

対策1:耐震基準適合証明書を取得する

耐震基準適合証明書とは、その建物が現行の耐震基準を満たしていることを証明する書類です。建築士や指定確認検査機関が発行します。

この証明書を取得するメリットは大きく3つあります。

  1. 住宅ローン審査でのプラス評価:旧耐震の建物でも、耐震基準を満たしていると証明されれば融資を受けやすくなる
  2. 住宅ローン減税の適用:築年数に関係なく、減税を受けられる条件の一つになる
  3. 登録免許税・不動産取得税の軽減:各種税金が軽減される

費用の目安は耐震診断が10〜20万円、証明書の発行が5〜10万円程度です。物件引き渡し前に取得する必要があるため、売買契約前に売主の了解を得て手続きを進めるのがポイントです。

対策2:フラット35リノベを活用する

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する最長35年の全期間固定金利住宅ローンです。民間の銀行ローンと異なり、物件の審査基準が明確に公開されているため、事前に適合・不適合を判断しやすいメリットがあります。

中でも「フラット35リノベ」は、中古住宅の購入と合わせて性能向上リフォームを行う場合に、借入金利が一定期間引き下げられる制度です。耐震性、省エネルギー性、バリアフリー性、耐久性・可変性のいずれかの基準を満たすリフォームが対象となります。

金利引き下げ幅はプランにより異なりますが、金利Aプラン(当初10年間 年▲0.5%)金利Bプラン(当初5年間 年▲0.25%)など、返済負担を軽減できる魅力的な制度です。旧耐震の物件でも、リフォームで耐震性を確保すれば利用できる可能性があります。

対策3:事前審査(仮審査)を戦略的に活用する

本格的な物件探しを始める前に、事前審査(仮審査)を受けておくことを強くおすすめします。事前審査とは、本審査の前に「このくらいの金額なら融資できそうか」を金融機関に確認するプロセスです。

事前審査のメリットは以下の通りです。

  • 自分がいくらまで借りられるか、事前に把握できる
  • 信用情報に問題がないか確認できる
  • 売主や不動産会社への交渉力が上がる(「ローンの事前承認を得ています」と伝えられる)
  • 物件が見つかったとき、スピーディーに本審査に進める

事前審査は無料で、審査期間も1〜3営業日程度です。物件が決まる前でも受けられるので、早めに動いておきましょう。

対策4:複数の金融機関に申し込む

住宅ローンの審査基準は、金融機関によって異なります。メガバンクでは通らなくても、地方銀行、信用金庫、ネット銀行では通るというケースは日常茶飯事です。

特に中古住宅の場合、以下のような特徴があります。

金融機関タイプ 中古住宅への姿勢 特徴
メガバンク やや慎重 審査基準が画一的。旧耐震はNGのことも
地方銀行 比較的柔軟 地域の物件事情を理解した柔軟な審査
信用金庫 柔軟 地元密着型で個別事情を考慮しやすい
ネット銀行 金利は低いが画一的 金利面で有利だが、物件条件は厳格
フラット35 基準が明確 適合証明書が取得できれば利用可能

私の経験では、最低でも3つの金融機関に事前審査を申し込むことをお客様にアドバイスしています。金融機関選びでお困りの方は、住宅ローンに詳しい不動産会社に相談するのも一つの手です。

対策5:リフォーム一体型ローンを活用する

リフォーム一体型ローンとは、中古住宅の購入費用とリフォーム費用を一つの住宅ローンとしてまとめて借りられる商品です。

このローンの大きなメリットは以下の通りです。

  • リフォーム後の価値で担保評価される(リフォーム前の低い評価ではなく、リフォーム後の改善された価値で審査してもらえる)
  • リフォームローンを別途借りるより金利が低い(住宅ローン金利が適用される)
  • 借入を一本化できるため、手続きがシンプル

例えば、築30年の物件を2,000万円で購入し、800万円のリフォーム(耐震補強+断熱改修+水回り交換)を行う場合、合計2,800万円を一つの住宅ローンとして借りることができます。リフォームで建物の性能が上がれば担保評価も改善されるため、審査に通りやすくなるという好循環が生まれます。

リフォーム一体型ローンを取り扱っている主な金融機関には、りそな銀行、三井住友銀行、各地方銀行、住宅金融支援機構(フラット35リノベ)などがあります。取り扱い条件は金融機関ごとに異なりますので、事前に確認しましょう。

5. 住宅ローン減税を活用するために【2026年最新】

住宅ローンを組んで中古住宅を購入するなら、住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)をしっかり活用したいところです。年末のローン残高の一定割合が所得税(および住民税の一部)から控除される制度で、家計への恩恵は非常に大きくなります。

5-1. 2026年の住宅ローン減税の基本

2026年時点での中古住宅に関する住宅ローン減税の主なポイントは以下の通りです。

  • 控除率:年末ローン残高の0.7%
  • 控除期間10年間(中古住宅の場合)
  • 借入限度額:一般の中古住宅で2,000万円、認定住宅等(長期優良住宅・低炭素住宅)で3,000万円
  • 最大控除額:一般の中古住宅で10年間合計最大140万円、認定住宅等で最大210万円

5-2. 中古住宅で減税を受けるための条件

中古住宅で住宅ローン減税を受けるには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  1. 1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅(登記簿上の建築日付で判断。新耐震基準に適合しているとみなされる)
  2. 耐震基準適合証明書を取得している
  3. 既存住宅売買瑕疵保険に加入している

つまり、旧耐震の建物でも対策1で紹介した耐震基準適合証明書を取得すれば、住宅ローン減税の適用を受けられる可能性があるということです。

5-3. 補助金も合わせてチェック

リフォームを伴う中古住宅購入の場合、国の補助金制度も活用できる場合があります。2026年は「みらいエコ住宅2026事業」(旧・子育てグリーン住宅支援事業)が実施されており、省エネ改修や断熱リフォームに対して補助金が支給されます。リフォーム上限は最大100万円で、対象は平成10年以前築相当(旧省エネ基準未満)の住宅です。

また、「先進的窓リノベ2026事業」では内窓(二重窓)の設置に対する補助もあります。耐震補強リフォームと合わせて窓の断熱改修も行えば、住宅ローン減税に加えて補助金も受け取れるため、トータルの費用負担を大幅に軽減できます。

補助金制度は毎年内容が変わりますので、最新情報は国土交通省のホームページや、お近くの不動産会社にご確認ください。

6. まとめ

中古住宅の住宅ローン審査について、重要なポイントを整理しましょう。

【審査で見られる4つのポイント】

  1. 築年数と建物の残存耐用年数
  2. 耐震性(旧耐震か新耐震か)
  3. 担保評価(土地+建物の総合評価)
  4. 借入者の属性(年収・勤続年数・信用情報)

【審査を通すための5つの対策】

  1. 耐震基準適合証明書を取得する
  2. フラット35リノベを活用する
  3. 事前審査を戦略的に活用する
  4. 複数の金融機関に申し込む(最低3社)
  5. リフォーム一体型ローンを活用する

中古住宅の購入は、新築と比べて住宅ローンの審査でつまずきやすい面があるのは事実です。しかし、事前にポイントを押さえて適切な対策を講じれば、審査を通すことは十分に可能です。

大切なのは、「物件を見つけてからローンを考える」のではなく、「ローンの準備をしながら物件を探す」という順番です。事前審査は物件が決まる前でも受けられますし、自分の借入可能額を知ることで、物件選びもスムーズになります。

住宅ローンの審査に不安がある方は、中古住宅の売買に詳しい不動産会社に相談してみてください。物件の選び方からローンの組み方まで、トータルでサポートしてもらえるはずです。皆さんの中古住宅購入が、後悔のない素敵なものになることを心から願っています。

刈田知彰

宅地建物取引士 刈田 知彰(かりた ともあき)

中古住宅売買の専門家。不動産業界16年のキャリアを持ち、新築マンション販売から中古戸建て・リノベーション専門へ転向。「買ってからがスタート」をモットーに、構造・耐震・断熱など建物の本質を見極めた住まい選びをサポートしています。

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