目次
1. はじめに
中古住宅の購入を検討されている皆さん、内覧(実際に物件を見学すること)のとき、「どこを見ればいいのかわからない」と不安に思ったことはありませんか?
不動産業界で16年、数百件の中古住宅を見てきた私の経験から言えるのは、内覧時のチェックが甘いと、購入後に数百万円の修繕費用が発生するリスクがあるということです。実際に私のお客様でも、「内覧のときにもっとちゃんと見ておけばよかった」と後悔された方は少なくありません。
この記事では、プロの目線で「内覧時にここだけは見ておくべき15のポイント」をチェックリスト形式でまとめました。この記事を読むことで、内覧時に何を確認すべきか明確になり、購入後のトラブルを未然に防ぐことができます。ぜひスマートフォンにブックマークして、内覧当日にお使いください。
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2. 内覧前に準備しておくべきこと
「内覧は見るだけでしょ?」と思われるかもしれませんが、事前準備があるかないかで、得られる情報量はまったく違います。限られた内覧時間を最大限に活用するために、以下の準備をしておきましょう。
2-1. 持ち物チェックリスト
内覧当日は以下のアイテムを持参すると、細かいところまで確認できます。
- メジャー(3m以上):家具の搬入経路や部屋の寸法を測る
- スマートフォン:写真・動画の記録に。水平器アプリも入れておくと便利
- 懐中電灯:床下や天井裏など暗い場所の確認に使う
- スリッパ:物件によっては用意がないことも
- 方位磁石(コンパスアプリ可):日当たりの確認に
- 筆記用具とメモ帳:気になった点をその場で記録
2-2. 事前に確認しておくべき書類・情報
内覧前に以下の情報を不動産会社に依頼して、できれば事前に目を通しておきましょう。
- 物件概要書:築年数、構造、面積などの基本情報
- 建物図面:間取りだけでなく、構造図があればベスト
- 修繕履歴:過去にどの部分をいつ修繕したかの記録
- 検査済証の有無:建築確認(建物を建てる前の許可)の後、完了検査を受けたかどうか
特に修繕履歴は重要です。屋根や外壁の塗り替え時期、給排水管の交換歴があるかないかで、今後かかる修繕費用の見通しが大きく変わります。
3. 建物の外回りで見るべき5つのポイント
内覧というと室内ばかり気にされる方が多いですが、実は建物の状態は外回りに表れます。ここでは外観から読み取るべき5つのチェックポイントを解説します。
ポイント1:基礎のひび割れ
基礎(建物の土台となるコンクリート部分)に幅0.5mm以上のひび割れがある場合は注意が必要です。ヘアークラック(髪の毛ほどの細いひび)は経年で自然に発生するものですが、幅が広いものや斜めに走るひびは、地盤沈下(地面が不均一に沈むこと)の可能性があります。名刺の角をひびに当てて、すっと入るようなら専門家に相談すべきサインです。
ポイント2:外壁の状態
外壁を指で触ってみてください。白い粉が付く現象をチョーキング(白亜化)と言い、塗装の防水効果が低下しているサインです。また、外壁材の継ぎ目に充填されているコーキング(シーリングとも呼ぶ)が硬化してひび割れていないかも確認しましょう。ここから雨水が侵入すると、構造材の腐食につながります。
ポイント3:屋根の状態
屋根は直接登れませんが、少し離れた場所から目視で確認できます。瓦のずれ、板金(屋根に使われる金属部材)の浮き、苔の繁殖がないかチェックしましょう。築20年以上で屋根の塗り替え履歴がない場合は、近い将来に大規模な修繕が必要になる可能性が高いです。
ポイント4:雨どい・軒裏
雨どいが外れていたり、詰まっていたりすると、雨水が外壁を直接伝って建物を傷めます。また、軒裏(屋根の裏側で外壁から突き出た部分の裏面)に雨染みがある場合は、雨漏りの兆候です。見落としやすい箇所ですので、意識して確認してみてください。
ポイント5:敷地の水はけ・境界
建物周囲の地面に水たまりの跡がないか確認しましょう。水はけが悪い敷地は、床下の湿気が高くなり、シロアリ被害のリスクが上がります。また、隣地との境界標(境界を示す金属の杭やプレート)が確認できるかどうかも大切です。境界が不明確だと、将来の建て替えやリフォーム時にトラブルになることがあります。
施工現場からのアドバイス
私が16年間で数百件の中古住宅を見てきた経験からお伝えすると、外回りの確認だけで「この物件は要注意だな」とわかるケースが全体の約3割はあります。
特に基礎のひび割れと外壁のコーキングは、素人目にも判断しやすいポイントです。実際にあったケースでは、外壁のコーキングがボロボロに劣化していた物件で、壁の内側に雨水が回り、構造の柱が腐食していたことがありました。外壁の塗り替え費用は一般的な戸建てで80〜150万円ほどですが、構造材まで傷んでいると300万円以上の補修費用がかかることもあります。
「外回りが綺麗な物件は、オーナーさんが建物を大切にしてきた証拠」というのが、現場で感じる実感です。逆に、外回りが荒れている物件は室内にも問題を抱えていることが多いので、心の準備をしてから室内に入るようにしています。
4. 建物の内部で見るべき10のポイント
外回りの確認が終わったら、いよいよ室内のチェックです。ここでは10のポイントに分けて解説します。見た目の綺麗さだけに惑わされず、建物の「骨」の部分に注目してください。
ポイント6:床の傾き
スマートフォンの水平器アプリを使って、各部屋の床の傾きを測定しましょう。6/1000(1mで6mmの傾き)以上は構造的な問題の可能性があります。ビー玉を持参して転がしてみるのも有効です。特にリビングや廊下など、家の中心部で確認するのがポイントです。
ポイント7:壁・天井のひび割れと雨染み
壁紙の上からでもわかるひび割れは、下地の動きを示しています。また、天井や壁の上部に茶色いシミがある場合は、過去または現在進行形の雨漏りを疑いましょう。特に2階建ての1階天井は、2階の配管からの水漏れの可能性もあります。
ポイント8:建具(ドア・窓)の動作
すべてのドアと窓を実際に開閉してみてください。スムーズに開閉しない場合は、建物の歪みが原因かもしれません。1か所だけなら建具自体の問題ですが、複数箇所で不具合がある場合は構造の歪みを疑う必要があります。窓については、サッシの結露跡やゴムパッキンの劣化も確認しましょう。
ポイント9:水回りの状態
キッチン・浴室・洗面所・トイレの水回りは、リフォーム費用が最もかかる部分です。実際に蛇口をひねって水を出し、以下を確認してみてください。
- 水の出方と水圧は十分か
- お湯がちゃんと出るか(給湯器の寿命は一般的に10〜15年)
- 排水がスムーズか(流した水がゴボゴボ音を立てないか)
- シンク下・洗面台下に水漏れの跡はないか
ポイント10:床下の状態
キッチンや洗面所に床下点検口(床下に潜れるように設けられた開口部)がある場合は、ぜひ覗いてみてください。懐中電灯で照らして、以下をチェックします。
- 水たまりやカビの有無
- 木材の腐食やシロアリの蟻道(シロアリが通った土のトンネル状の跡)
- 配管の状態(赤サビ、水漏れの跡)
- 断熱材の有無と状態
ポイント11:天井裏(小屋裏)
2階の天井に点検口がある場合は確認しましょう。雨漏りの跡、断熱材の状態、構造材の状態がわかります。懐中電灯で照らして、木材に黒い染みがないか、断熱材が均一に敷かれているかを見てください。
ポイント12:壁の中の湿気・カビ
押入れやクローゼットの奥、北側の部屋の壁は結露やカビが発生しやすいポイントです。扉を開けて匂いを確認し、壁にシミや黒カビがないかチェックしましょう。カビの匂いがする場合は、壁の中に湿気の問題を抱えている可能性があります。
ポイント13:電気設備
コンセントの数と位置、分電盤(ブレーカーが並んでいる配電盤)の容量を確認しましょう。築古の物件では30A(アンペア)の契約しかできないケースもあり、現代の生活では容量不足になることがあります。分電盤にアスベスト表記がある場合は、交換時に追加費用がかかる点も知っておきましょう。
ポイント14:日当たり・風通し
できれば時間帯を変えて2回以上内覧するのがベストです。南向きでも隣家が近い場合は、思ったより日が入らないこともあります。窓を開けて風通しを確認し、周辺の騒音レベルも体感しておきましょう。平日と休日でも環境は変わりますので、可能であれば曜日を変えて訪問することをおすすめします。
ポイント15:周辺環境
物件だけでなく、周辺環境も大切なチェックポイントです。以下を確認してみてください。
- 最寄り駅からの実際の距離(徒歩で歩いてみる)
- スーパー、病院、学校など生活インフラへのアクセス
- 前面道路の交通量と騒音
- 隣家との距離感(プライバシーの確保)
- ハザードマップでの浸水リスク・土砂災害リスク
ハザードマップは各自治体のホームページで確認できます。購入前に必ず確認しておくべき情報です。
5. 内覧後にやるべきことと判断基準
内覧が終わったら、以下のステップで判断を進めましょう。
5-1. 内覧の記録を整理する
内覧から帰ったら、記憶が新しいうちに以下を整理しましょう。
- 撮影した写真・動画を時系列で整理
- 気になった点をリスト化して優先度を付ける
- 修繕が必要な箇所の概算費用を調べる
5-2. ホームインスペクションの活用
気に入った物件が見つかったら、ホームインスペクション(住宅診断)の利用を強くおすすめします。これは、建築士などの専門家が建物の状態を第三者の立場で調査するサービスです。費用は5〜10万円程度ですが、購入後に数百万円の不具合が見つかるリスクを考えれば、非常にコストパフォーマンスの高い投資です。
2018年4月から、中古住宅の売買時に不動産会社がインスペクションのあっせんについて説明する義務が定められました。遠慮せず「インスペクションを入れたい」と伝えてください。
5-3. 判断に迷ったときは
内覧で気になる点が複数あった場合でも、すぐに諦める必要はありません。大切なのは、修繕にいくらかかるかを把握し、物件価格と合わせたトータルコストで判断することです。築年数が古い物件でも、きちんと修繕すれば長く安心して暮らせます。逆に、築浅でもメンテナンスが放置されている物件は要注意です。
6. まとめ
いかがでしたでしょうか。中古住宅の内覧時に見るべき15のポイントを整理すると、以下のようになります。
【外回り5つのポイント】
- 基礎のひび割れ
- 外壁の状態(チョーキング・コーキング)
- 屋根の状態
- 雨どい・軒裏
- 敷地の水はけ・境界
【内部10のポイント】
- 床の傾き
- 壁・天井のひび割れと雨染み
- 建具(ドア・窓)の動作
- 水回りの状態
- 床下の状態
- 天井裏(小屋裏)
- 壁の中の湿気・カビ
- 電気設備
- 日当たり・風通し
- 周辺環境
中古住宅の購入は人生の中でも大きな決断です。内覧は「見る」ではなく「調べる」という気持ちで臨んでください。この記事のチェックリストを片手に、後悔のない住まい選びをしていただければ嬉しく思います。
不安なことがあれば、ぜひ専門家にご相談ください。私たち『東京中古一戸建てナビ』では、建物の状態を踏まえた物件のご提案を行っています。
宅地建物取引士 刈田 知彰(かりた ともあき)
中古住宅売買の専門家。不動産業界16年のキャリアを持ち、新築マンション販売から中古戸建て・リノベーション専門へ転向。「買ってからがスタート」をモットーに、構造・耐震・断熱など建物の本質を見極めた住まい選びをサポートしています。
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