2023.09.01
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古いハウスメーカーの鉄骨造住宅は買ってもいい? 購入後の訪れるリノベーションの課題とその対策

更新日:2024年3月21日

古いハウスメーカーの鉄骨造住宅は買ってもいい? 購入後の訪れるリノベーションの課題とその対策

 

 

はじめに

古いハウスメーカー、大和ハウス積水ハウス旭化成ヘーベルハウス積水ハイムパナソニックホームズ(旧ナショナル住宅産業株式会社)などを検討する際には様々な事に注意を向ける必要があります。間取り変更への対応耐震問題耐火性の問題そして今回メインの断熱問題になります。このコラムでは断熱について詳しく解説したいと思います。

まずは、耐震問題に触れておきましょう。今から42年前の1981年耐震基準が大きくかわりました。ハウスメーカーの建物は、鉄骨造住宅(主に軽量鉄骨造)の建物になると思いますが、1981年以前に建てられた建物に関しては現行の耐震基準を満たしていない可能性があります。また、その基準を満たしているか満たしていないかはハウスメーカーの建物は型式適合認定という特殊な建て方をしているので、調べることができません。各ハウスメーカーはそれぞれ独自工法で家を建てているのです。そのため型式適合認定をどのような内容で取得したのかを知っている、施工を行ったハウスメーカーのみというわけです。つまり、1981年以前の建物は国のお墨付きがないので購入してはならないというわけです。もう一点1981年以降(新耐震基準に適合)に建てられた建物というのはメリットがあります。それは住宅ローン減税が利用できるという事です。木造の場合は耐震適合認定を受けることで、住宅ローン減税が利用できますが、型式適合認定の建物はできません。
つまり、ハウスメーカーの建物を検討する場合は築1981年(正確には建築確認申請の日付)を選ぶと良いという結論がでます。また、いくら新耐震基準だとしても建物の管理を行っていない建物は要注意です。定期的にメンテナンスをしていること、雨漏りや火災の被害がないかなどの確認は必ず必要になります。このような確認等も東京中古一戸建てナビではワンストップで行います。

型式適合認定のコラムはコチラ↓

型式適合認定をご存じでしょうか。|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

断熱・気密の問題

そして、30年以上前に主要なハウスメーカー大和ハウス、積水ハウス、旭化成ヘーベルハウス、積水ハイム、パナソニックホームズ(旧ナショナル住宅産業株式会社)によって建設された古い鉄骨造住宅には、もう一つ大きな課題があります。それが暑さ対策と寒さ対策になります。そもそも30年以上前の建設時には、現在の高い断熱性能と同じ基準や技術的がありませんでした。その結果、住宅所有者は年間を通じて不快感に苛まれることがよくあり、夏は耐え難いほど暑く、冬は厳しく寒いものとなっています。床はとても冷たくなるため、裸足で歩くことすら困難な状態となることもあります。

そこで東京中古一戸建てナビではこの悩みを解決するように先にアドバイスをさせて頂いております。今回のコラムは後悔しない住宅選びの一助にして頂ければ幸いです。

夏の激しい暑さと冬の厳しい寒さは、住民の健康や生活の質にも大きな悪影響を及ぼします。


こういった問題は、現在でも人気のある大和ハウス、積水ハウス、旭化成ヘーベルハウス、積水ハイム、パナソニックホームズ(旧ナショナル住宅産業株式会社)などの主要なハウスメーカーの家だとしても注意が必要なのです。

断熱改修工事について

軽量鉄骨造の建物の様々な箇所の断熱写真をまとめた画像

断熱改修が必要になることはご理解いただけたと思いますが、残念ながら、これらの問題に対処するための適切な断熱改修を提供できる会社は少ないのが実情です
多くのハウスメーカーは、断熱基準を現在のレベルに引き上げる必要性を認識してはいるものの、大幅な改善を行う能力をしばしば欠いています。彼らの改修メニューは限られており、断熱改修のオプションをいくつか提供している場合でも、大幅な性能向上を達成するためにはこれらが不十分であることがよくあります。例えば、彼らは内部サッシの交換を提供するかもしれませんが、外壁や床の断熱改修を対応することはできないことがよくあります。

このような状況により、多くのハウスメーカーの建物所有者は、高基準の断熱はすることができないと思われるようになりました。しかし、適切な専門知識を持つと、既存の軽量鉄骨住宅を快適で高い断熱性能を持つ住居に変えることが完全に可能です。東京中古一戸建てナビを運営しているハイウイルでは、これらの課題を深く理解しており、断熱改修等に関する悩みを解決するための最適な断熱改修を提案しています。
鉄骨住宅の独自の特性を活用し、最新の断熱材や技術を使用して、夏の暑さや冬の寒さから家族を守るためのリフォームを実現しています。さらに、断熱改修だけでなく、気密性の向上や換気設備の導入など、住宅全体の性能向上を目指す取り組みも進めています。これにより、快適な室内環境を実現するとともに、エネルギー消費の削減やCO2排出量の低減にも貢献しています。

鉄骨住宅の断熱改修のメリット

鉄骨住宅の断熱改修には、以下のような多くのメリットがあります。

①快適性の向上

断熱材を使用することで、住宅内の温度が安定し、夏の暑さや冬の寒さから保護されます。これにより、住居内の快適性が大幅に向上します。

➁エネルギーコストの削減

高い断熱性能を持つ住宅は、冷暖房の効率が向上し、エネルギーコストを削減することができます。

③環境への貢献

エネルギー消費の削減は、CO2排出量の低減にもつながり、環境保護に貢献します。

④健康面の向上

適切な断熱と換気は、結露やカビの発生を防ぎ、健康的な室内環境を維持するのに役立ちます。

⑤住宅の価値向上

断熱改修を行うことで、住宅の価値が向上し、将来的な売却時にもメリットとなります。

断熱改修を検討する際のポイント

断熱改修を検討する際には、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。

①専門家の意見を取り入れる

断熱改修に関する専門家や業者と相談し、適切な方法や材料を選択することが重要です。

➁予算の設定

断熱改修にはかなりの費用がかかりますので、事前に予算を設定し、計画的に進めることがおすすめです。

③長期的な視点での検討

断熱改修は、短期的なコストだけでなく、長期的な住宅の価値やライフスタイルの向上を目的として行うべきです。

断熱改修は、住宅の快適性やエネルギー効率を向上させるための重要なステップです。適切な計画と専門家のアドバイスを取り入れることで、より良い住環境を実現することができます。

木造と鉄骨の断熱改修の違い

住宅の断熱改修は、快適な住環境の実現やエネルギー消費の削減を目的として行われます。

しかし、住宅の構造によって、断熱改修の方法やポイントは異なります。

特に、木造と鉄骨造では、その違いが顕著に現れるため、それぞれの特性を理解した上での適切な改修が求められます。

①木造と軽量鉄骨造の違いを知る

木造と軽量鉄骨造は、使用する主要な構造材が異なります。木造は、長い歴史を持つ日本の伝統的な建築方法で、当然木材を中心に建築されます。対照的に、軽量鉄骨造は都市部での普及が目立ち、厚さ6mm以下の鋼材を用いて作られた鉄骨材を用いて建築されます。

➁鉄骨の熱の伝わりやすさ

鉄骨の特徴として、熱を効果的に伝える性質があります。これは断熱の観点から見ると、冬には冷気、夏には暑さを室内にもたらすリスクがあるため、注意が必要です。

③鉄骨の被覆の必要性

鉄骨の熱伝導の問題を解決するため、鉄骨の被覆が欠かせません。鉄骨の表面に断熱材を施すことで、熱の伝わりを抑え、断熱性能を向上させます。住環境を快適に保つことが可能です。「フェノバボード」などの専用断熱材がこの目的でよく使用されます。

④木造の断熱対策のポイント

木造の家は、木材が持つ断熱性を活かしながら、壁内の断熱材の追加や窓の改修など、さまざまな方法で断熱性を高めることができます。

⑤断熱改修時の総合的な視点

断熱改修を検討する際、建物の構造や特性はもちろん、住む人の生活スタイルや予算、将来の予定など、多様な要因を考慮することが大切です。特に軽量鉄骨造の家では、鉄骨の被覆の意味を理解し、適切な断熱対策をしっかりと行うことが求められます。

⑥木造と鉄骨の断熱改修の違いまとめ

軽量鉄骨造と木造、それぞれには独自の断熱の課題と特性があります。しかし、適切な対策と改修を行うことで、どちらの家でも快適な住環境を手に入れることができます。

 

5軽量鉄骨住宅の断熱温熱改修の実例

関連サイトの増改築.comでは、セキスイハイム「軽量鉄骨住宅」断熱改修の実例をアップしています。

その内容は!?

ハウスメーカー鉄骨造住宅の熱橋の対策

セキスイハイム「軽量鉄骨住宅」断熱改修では、「熱橋の遮断」が中心です。熱橋は、断熱層を横断して熱が移動する部位で、鉄骨の高い熱伝導率が原因です。柱型の鉄骨には「フェノバボード」を採用し、H型鋼梁にも適切な断熱材を使用して熱橋を防ぎます。木造は熱伝導率が低いが、鉄骨造では熱橋対策が不可欠です。適切な断熱材と技術で、鉄骨造住宅でも快適な住環境を実現できます。

 

こちらが柱型の鉄骨に対して「フェノバボード」の施工風景です。

軽量鉄骨造の建物内、柱型の鉄骨、フェノバボードを施工、実際の施行写真

ハウスメーカー鉄骨造住宅の床断熱

鉄骨住宅の床断熱の要点をまとめました。
鉄骨住宅の床断熱は、住まいの快適性とエネルギー効率に直接影響します。特に、鋼製の床は熱伝導率が高く、熱橋のリスクが増します。熱橋は、断熱層内で熱が流れやすい部分を指し、これを遮断することが重要です。

コチラの写真は実際に「ミラネクスト」を実際の床に施行中の写真になります。

軽量鉄骨造の建物、ミラネクストの施工風景、床の断熱リフォーム、施工風景

鋼製床の熱橋対策

鉄骨部分を適切に被覆し、断熱材を充填することで熱橋を遮断します。
高断熱材の使用: 限られた厚みの床には、ミラネクストラムダ75㎜のような高断熱の断熱材が適しています。

気密処理

断熱材充填後、気密テープで気密性を確保し、冷暖房効果を最大化します。

鉄骨土台の気流止め

鉄骨土台周辺に気流止めを施し、床下からの冷気侵入を防ぎます。
要するに、鉄骨住宅の床断熱は、断熱材の選択だけでなく、熱橋の遮断や気密性の確保も重要です。

ハウスメーカー鉄骨造住宅壁断熱の要点

鉄骨住宅の壁断熱は、住宅の快適性とエネルギー効率を向上させるためのキーとなります。特に、鉄骨の高い熱伝導率による熱橋の問題が挙げられます。

こちらの写真は壁の断熱をセルロースファイバーを利用して行っている写真です。

軽量鉄骨造の建物、壁セルロースファイバー、断熱リフォーム写真

熱橋の遮断

鉄骨部分が熱橋となりやすいため、断熱材を充填して熱橋を遮断することが必要。高性能グラスウールが効果的です。
セルロースファイバーの使用
環境に優しく、優れた断熱性能を持つセルロースファイバーは、壁断熱材として人気。120㎜の厚みでの充填が推奨される。

桁までの充填

桁という水平方向の鉄骨まで断熱材を充填することで、均一な断熱性能を確保。

断熱材の選定

断熱材の選択時には、熱伝導率や耐久性、施工性を考慮。セルロースファイバーや硬質30倍発泡ウレタンが適している。
要するに、鉄骨住宅の壁断熱は、熱橋の遮断、適切な断熱材の選定と充填がポイントです。これらを適切に行うことで、快適な住環境を実現できます。

ハウスメーカー鉄骨住宅天井断熱の要点

鉄骨住宅の天井断熱は、夏の暑さや冬の寒さを緩和し、エネルギー効率を向上させるための鍵となります。

天井の断熱風景です。

軽量鉄骨造の建物、天井をセルロースファイバーで断熱、実際の写真

熱橋の遮断

鉄骨住宅の天井には熱橋となる鉄骨が多い。これらの部分に断熱材を充填し、熱橋を遮断することが必要。高性能グラスウールやパーフェクトバリアが効果的です。

セルロースファイバーの使用

環境に優しく、高い断熱性能を持つセルロースファイバーは、天井断熱において主要な材料となる。特に、300㎜の厚みでの充填が推奨される。

断熱材の選定

天井の空間に適切な断熱材を充填することで、室内の温度環境を改善。セルロースファイバーや高性能グラスウールが特に効果的です。

断熱改修の効果
 

適切な天井断熱により、室内温度の安定化と光熱費の節約が期待できる。
総じて、鉄骨住宅の天井断熱は、熱橋の遮断と適切な断熱材の選定・充填がポイント。これにより、快適な住環境を実現できます。

その他、ハウスメーカー鉄骨住宅天井断熱のポイント

鉄骨住宅の天井断熱は、夏の暑さや冬の寒さを緩和し、エネルギー効率を向上させるための鍵となります。

折半屋根やH型鋼の梁上の遮断

折半屋根やH型鋼の梁上には熱橋が生じやすい。発泡ウレタンを隙間なく充填し、熱橋を遮断することで、断熱性能を向上させる。

階段が接する外周面の壁断熱

階段が接する外周面の壁は階段の規格寸法との兼ね合いにより、断熱が難しくなります。高性能グラスウールや防湿シートを使用して、効果的な断熱を実現する。

断熱改修の重要なポイント

築年数が経過した住宅では、断熱性能の向上が必要。適切な断熱材の選定や施工、気密性の確保がポイント。

断熱改修の効果

断熱改修により、室内温度が安定し、光熱費の節約や健康維持が期待できる。

注意点

断熱改修は専門的な知識が必要です。経験豊富な業者に依頼し、事前の打ち合わせや調査を徹底することが重要になります。
総じて、鉄骨住宅の断熱は、住まいの快適性や環境性を大きく向上させるための重要なステップです。適切な改修で、長持ちする快適な住環境を実現しましょう。

 

まとめ

古いハウスメーカーの鉄骨造住宅は買ってもいい?

というクエスチョンについては買ってもよいという結論になります。しかし、物件の見極めと性能不足に対策をすることを推奨させて頂きます。
また、そのためには高額な費用がかかります。購入後に思った以上に費用がかさまないように注意することが重要になります。

大手ハウスメーカーの大和ハウスや積水ハウス、旭化成ヘーベルハウス、セキスイハイム、パナソニックホームズでも、築が古い建物については、断熱性能が不足しています。鉄骨住宅の断熱改修に注力する必要があります。

日本の気候を考慮すると、住宅の断熱は住む人の快適性と健康に直接関わります。鉄骨住宅は、熱伝導率が高いため、熱橋となる部分が問題となります。熱橋は、断熱層内で熱が流れやすい部分を指します。これを遮断する技術が、鉄骨住宅の断熱改修の鍵です。

具体的には、鉄骨部分をフェノバボードで被覆することで、熱橋の影響を軽減できます。しかし、断熱材の選択だけでなく、施工の質も重要です。隙間なく施工することで、真の断熱効果を得られます。

施工業者の選定時には、その技術力や過去の実績を確認することが大切です。多くの情報が提供されている現代では、実際の施工写真や事例を参照することで、業者の信頼性を判断できます。また、後々余分な費用(追加リフォーム費用など)がかからないように購入時にリノベーションにかかる費用を説明している施工業者を選びましょう。

断熱改修は、単なる工事以上の価値があります。住む人の生活品質向上と環境への配慮を兼ね備えた大切なステップです。ハウスメーカーの建物をご希望の方は適切な業者とともに、断熱改修(温熱改修)を行い、持続可能な住環境を目指しましょう。

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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著者刈田の写真


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