2023.04.10
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中古住宅の瑕疵担保責任とは?「既存住宅売買瑕疵保険について」

更新日:2024/3/7

中古住宅瑕疵担保責任

 

 

「中古住宅瑕疵担保責任についてお伺いしたいのですが」と質問を受けましたので、今回はこちらについて解説していきたいと思います。

 

はじめに

 

中古住宅瑕疵担保責任とは?まず、こちらに関しては2つのことを指していると思います。

 

まずは、「中古住宅の瑕疵担保責任」についてと、「既存住宅売買瑕疵保険」についてです。この2つパターンについて、または2つが重複しているものだと勘違いされているケースについてを「中古住宅瑕疵担保責任」として質問されているというものです。

 

 

「中古住宅の瑕疵担保責任」については、2020年に「契約不適合責任」へと改められました。

「契約不適合責任」については過去のコラムでも解説しておりますので、今回は「既存住宅売買瑕疵保険」について解説していきたいと思います。

契約不適合責任とは?その① 瑕疵担保責任との違いについて契約不適合責任を徹底解説|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

契約不適合責任とは?その➁責任内容と契約書での注意点を解説|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

 

既存住宅売買瑕疵保険とは?

 

既存住宅売買瑕疵保険」は、今まで新築住宅に対して提供されていた「新築住宅瑕疵保険」を中古住宅にも対応させたものです。保険の名称はそれぞれの会社によって名称が若干異なるますのご注意ください。

 

購入した住宅に瑕疵(不具合や欠陥のこと)が見つかると、生活に大きな影響を与えることになりかねないため、中古住宅を安心して購入するためそして売却するための制度として、既存住宅瑕疵保険が提供されています。

 

既存住宅売買瑕疵保険が求められる背景

 

中古住宅を取引する場合、売主が個人か不動産会社かによって、取引する不動産に対しての契約不適合責任を負う期間が異なります。

 

不動産会社が売主の場合は、2年間瑕疵に対して保証期間を設けるのが義務付けられています。しかし、個人が売主の場合には保証期間に対して決められた期間はなく、実際の取引では長くて半年、3カ月、築が古い物件に関しては保証期間なしで取引が行われます。

 

売主である個人も住宅に関しての知識が乏しいケースが多いですし、また調査するにも費用が発生しますので、許容する必要はあると思います。

 

2020年4月以前は「不具合の告知漏れ」があったとしても責任が追及できない、いわゆる「瑕疵担保責任免責」という形で取引するケースが多く、中古住宅の取引は「買主側のリスクが高い」というのが一般的でした。

ですがそれでは、中古住宅の流通性を高めることはできません。

 

現在(2020年4月以降)は「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」にかわり、不具合の申告漏れがあった場合は売主の責任になります。そこで、登場するのが「既存住宅売買瑕疵保険」になります。例えば、不具合に対して一切責任を負いませんという契約不適合責任免責の物件「既存住宅売買瑕疵保険」に加入しており、万が一の場合は保険がおりますという物件どちらの物件が高値になるのか安心できるのかすぐお分かりいただけると思います。

 

既存住宅売買瑕疵保険について詳しく解説。

ここでは既存住宅売買瑕疵保険の対象部分や内容について解説していきます。

建物の主要部分に対する保険

 

既存住宅売買瑕疵保険は建物すべてが対象になるわけではなく、あくまで建物の主要部分のみが対象となります。

 

建物の主要部分とは下記のような部分のことをいいます。

建物の主要部分

 

柱や梁、基礎など建物の基本構造部分

給排水管など生活するのに不可欠な部分

屋根など雨水の侵入を防ぐ部分

 

瑕疵担保保険建物主要部分の図

 

キッチンやユニットバス、トイレなどの付帯設備は既存住宅売買瑕疵保険では対象外となります。家全体の保険になりますので、拡大解釈されて保険が利用できると勘違いされている方がおられますので、お気を付けください。

 

保険内容

 

既存住宅売買瑕疵保険の保険期間は、1年間、2年又は5年となります。保険金額は200万円、500万円又は1000万円です。(保険商品により異なります)

 

保険金の支払い対象になるのは、下記のとおりです。

 

保険金の支払い対象

 

・補修費用

・調査費用

・転居や仮住まい費用など

保険金額はあくまで上限のため、実際にかかった費用が保険金額を下回る場合はその金額が支給されます。

※特約により給排水管路

 

又、既存住宅売買瑕疵保険には5万円~10万円の免責金額が設定されているので、実際の支給額はその免責金額を差し引いた金額となります。

 

保険加入者

 

既存住宅売買瑕疵保険の加入者は、売主が宅建業者個人かによって異なります。

 

売主が宅建業者の場合は、その宅建業者が保険加入者となります。売主が個人の場合は、ホームインスペクションをする検査機関が保険加入者となります。

 

保険支払いの対象になる事象が発生した場合は、買主が保険加入者である宅建業者もしくは検査機関に連絡をし、その業者から保険会社に保険金請求が行われます。

 

万が一保険期間中に宅建業者や検査機関が倒産してしまった場合は、買主が直接保険会社に保険金請求をすることができます。

 

既存住宅売買瑕疵保険のメリット

 

既存住宅売買瑕疵保険に加入するためには、10万円前後の保険料が必要になります。しかし、その費用分をカバーできるだけのメリットを受けることができます。

 

万が一に備えることができる

既存住宅売買瑕疵保険の目的は、購入した物件に万が一不具合や欠陥が見つかった場合に備えることです。

 

柱や梁などの主要構造部分は、欠陥を修理するのに高額な費用がかかることが少なくありません。

 

不動産購入に多くのお金を支払ったうえに、修理費用も必要になってしまうと家計にダメージを与えてしまいます。

 

既存住宅売買瑕疵保険に加入する事で、そのようなリスクを回避することができます。

 

既存住宅売買瑕疵保険に加入するためには、保険会社にあらかじめ登録された事業者によって行われる検査をクリアしなければいけません。

保険に加入してもらわなければならないのだからと思われるかもしれませんが、しっかり検査を行わないと万が一の場合は検査機関が責任を取らなければいけない事態になりかねないので、検査は慎重に行われます。

 

そのような検査をクリアしている住宅ということで、ある程度建物の状態が良好だと証明することができます。

 

既存住宅売買瑕疵保険に加入する流れ

 

既存住宅売買瑕疵保険に加入することで、どのようなメリットがあるかはご理解いただけたと思います。

 

次からは、既存住宅売買瑕疵保険に加入するためにはどのようなステップを踏む必要があるかを見ていきましょう。

 

①ホームインスペクションを受ける

既存住宅売買瑕疵保険に加入するためには、まず登録事業者のホームインスペクションを受ける必要があります。

 

ホームインスペクションとは、住宅に詳しいホームインスペクターによって行われる建物診断のことです。ホームインスペクションによって、建物の現状を知ることができます。

 

②保険の検査基準をクリアする

ホームインスペクションを受けたとしても、すべての物件が検査基準をクリアするとは限りません。

 

検査基準をクリアしていない場合は、基準をクリアするために改装工事を行う必要があります。

 

簡単な補修で済む場合もあれば、大がかりな工事が必要になる場合もあります。

 

改装工事が高額になり費用対効果があまりにも悪いと判断した場合には、既存住宅売買瑕疵保険への加入を断念することになります。

 

③保険契約を締結する

一回目で検査をクリアした場合や、改装工事後に再度検査を行い、無事検査をクリアした場合には、保険会社と保険契約をすることになります。

 

既存住宅売買瑕疵保険を提供する会社は?

 

・(株)住宅あんしん保証

・住宅保証機構(株)

・(株)日本住宅保証検査機構

・(株)ハウスジーメン

・ハウスプラス住宅保証(株)

の5社になり、会社によって保険商品の内容も異なります。

 

自分が思っているとおりの保険内容になっているかどうか、契約する前にしっかり確認しておきましょう。

 

既存住宅売買瑕疵保険の注意点

 

これまで既存住宅売買瑕疵保険のメリットや加入の流れについて紹介してきました。

 

既存住宅売買瑕疵保険は費用の割には受けられるメリットが多いため、基本的には加入することをオススメします。

 

しかし、既存住宅売買瑕疵保険に加入する前に注意点についても知っておいた方が良いでしょう。

 

どのような注意点があるのか見ていきましょう。

 

検査後のリフォーム工事は保険対象外

 

既存住宅売買瑕疵保険の保険対象は、あくまで検査時点の建物が対象となります。

 

そのため、検査後にリフォーム工事を行なった場合はリフォーム箇所については保険対象外となります。

 

最近では、引き渡し後に大規模なリノベーション工事を行なわれることも多くなりました。

 

既存住宅売買瑕疵保険に加入する前に、そのような工事を行なった場合はどうなるのか保険会社に確認しておきましょう。

 

『東京中古一戸建てナビ』のような性能向上リノベーションを行う場合は「既存住宅瑕疵保険」は基本的には必要ありません。

 

旧耐震基準の建物は基本的に加入できない

 

既存住宅売買瑕疵保険に加入できる建物は、基本的に新耐震基準で建てられた建物が対象となります。

 

新耐震基準とは建物の耐震強度を規定したもので、昭和56年6月以降に建築確認が行われた建物のことを新耐震基準適合の建物といいます。

 

保険会社によっては、耐震基準適合証などの書類を提出することで保険加入が認められる場合もあります。

 

旧耐震基準の建物でどうしても既存住宅売買瑕疵保険に加入したい場合は、事前に保険会社に相談してみましょう。

 

次の所有者に保険を引き継ぐことはできない

 

既存住宅売買瑕疵保険は、基本的に次の所有者に引き継ぐことはできません。

 

仮に5年間の保険期間があり3年後に住宅を売却した場合でも、次の所有者が保険を引き継ぐことはできないことになっています。

 

新築住宅瑕疵保険の場合は、分譲業者(施工業者)が手続きすることにより名義変更をできますが、既存住宅売買瑕疵保険の場合はできない点に注意しましょう。

 

まとめ

 

既存住宅売買瑕疵保険について解説してきました。既存住宅売買瑕疵保険は、2016年に提供が開始された比較的新しい保険商品です。

 

売主を守るという面もですが、保証が一切付かない中古住宅を購入することは、買主にとっても大きなリスクがあります。そういったリスクを下げるために、既存住宅売買瑕疵保険はとても重要な役割を持っています。

 

「既存住宅売買瑕疵保険」に加入することによって、買主は安心して中古住宅を購入できます。それと同時に、売主は”安心を付加価値として”高く売れる可能性が高くなるため、既存住宅売買瑕疵保険は、買主と売主双方にとってメリットのある商品だといえるでしょう。

 

今回は「既存住宅売買瑕疵保険」を中心に中古住宅瑕疵担保責任について解説してきましたが、これらの用語は同じような名前でも全く別のことの可能性もありますので、専門家に相談と確認を取りながら話を進めていくことをおすすめ致します。

 

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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著者情報 刈田知彰

 

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