2025.09.26
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【専門家が解説】買ってはいけない中古住宅の見分け方|後悔しないための10のチェックリスト

更新日: 2025/9/26

【専門家が解説】買ってはいけない中古住宅の見分け方|後悔しないための10のチェックリスト

「マイホームが欲しいけど、新築は高すぎる…」
「中古住宅は安くて魅力的だけど、欠陥があったらどうしよう…」

マイホームは人生で最も大きな買い物の一つ。価格の手頃さから中古住宅を検討する方は多いですが、同時に目に見えないリスクへの不安も大きいのではないでしょうか。

この記事では、不動産業界歴16年の専門家が、「買ってはいけない中古住宅」の具体的な見分け方を、土地と建物に分けて徹底解説します。

この記事を読めば、後悔しないためのチェックポイントが明確になり、安心して理想のマイホームを探せるようになります。

1. なぜ今、中古住宅?魅力と知っておくべきリスク

1. なぜ今、中古住宅?魅力と知っておくべきリスクのイメージイラスト

まずはじめに、中古住宅の「良い点」と「注意すべき点」を正しく理解しておきましょう。

1-1. 中古住宅が選ばれる5つの魅力

多くの方が中古住宅を選ぶ理由は、価格だけではありません。

  • 価格の手頃さ: 新築に比べ、初期費用を大幅に抑えられます。実際に国土交通省の調査でも、中古住宅の平均価格は新築の注文住宅に比べて約2,000万円も安いというデータがあります。
  • 確立された住環境: すでに街として成熟しているため、スーパーや学校、交通の便など、実際の生活環境を確認した上で購入できます。
  • 豊富な物件数: エリアを限定して探す場合、新築だけでなく中古も視野に入れることで、選択肢が格段に増えます。
  • 独特の味わい: 経年変化によるレトロな雰囲気や、個性的な間取りなど、新築にはない一点ものの魅力があります。
  • 即入居可能: リノベーションが不要な物件であれば、契約後すぐに入居できるため、家探しから入居までの期間を短縮できます。

1-2. 購入前に要確認!中古住宅に潜む4つのリスク

魅力的な中古住宅ですが、購入前に必ず知っておくべきリスクも存在します。

  • ⚠️ 経年劣化: 建物は築年数に応じて劣化が進んでいます。特に給湯器や水回り設備は、売主が住んでいた時は問題なくても、空き家期間に劣化が進み、引き渡し直後に故障するケースも少なくありません。
  • ⚠️ 隠れた欠陥(瑕疵): 雨漏り、シロアリ被害、構造体の腐食など、見ただけでは分からない欠陥が隠れている可能性があります。これが中古住宅購入の最大のリスクです。
  • ⚠️ 保証期間の短さ: 売主が不動産業者の場合は2年間の保証がつきますが、個人間売買の場合は保証が3ヶ月、もしくは「契約不適合責任免責」として保証が一切ないケースも珍しくありません。
  • ⚠️ 情報不足: 建築時の図面や検査済証などの重要書類が紛失している場合があり、物件の正確な状態を把握するのが困難なことがあります。
【ポイント】
これらのリスクは、「性能向上リノベーション」を行うことで解決できる場合があります。耐震性や断熱性を見直し、保証を付けることで、新築同様の安心感を得ることも可能です。

2. 後悔しないための第一歩!予算と希望条件の整理術

2. 後悔しないための第一歩!予算と希望条件の整理術のイメージイラスト

「良い物件があれば…」と、いきなり物件探しを始めるのは危険です。まずは冷静に予算と条件を整理しましょう。

2-1. 総額で考える!無理のない購入予算の設定方法

物件価格だけで判断すると、後で必ず予算オーバーになります。

  1. 諸費用を把握する: 物件価格の他に、仲介手数料、登記費用、税金などで物件価格の約6~9%の諸費用がかかります。
  2. リフォーム費用を見込む: 中古住宅は、多かれ少なかれリフォームが必要です。将来の修繕費用も含め、リフォーム用の予算をあらかじめ確保しておきましょう。
  3. 住宅ローン借入額を決める: 月々の返済可能額から、無理のない借入額を算出します。金融機関の事前審査を利用して、借入可能額を把握しておくとスムーズです。
物件価格 + 諸費用 + リフォーム費用 = 総予算
この「総予算」を意識することが、予算オーバーを防ぐ最大のコツです。

2-2. 「絶対に譲れない条件」の優先順位を決めよう

100%完璧な物件は存在しません。希望条件をリストアップしたら、必ず優先順位をつけましょう。

  • 絶対に譲れない条件は?: 「駅からの距離」「子供の学区」「耐震性能」など
  • できれば満たしたい条件は?: 「日当たり」「部屋の数」「駐車場の広さ」など
  • 諦めても良い条件は?: 「最新の設備」「庭の広さ」など

何が重要で、何なら妥協できるかを家族で話し合っておくことで、物件探しの軸がブレなくなり、決断も早くなります。


3.【重要】買ってはいけない物件チェックリスト10選

3.【重要】買ってはいけない物件チェックリスト10選のイメージイラスト

ここからが本題です。現地見学や資料確認の際に、プロが必ずチェックする「買ってはいけない物件」のポイントを解説します。

3-1. 土地編|資産価値を左右する5つの危険サイン

建物はリフォームできても、土地と環境は変えられません。

  1. 災害リスクの高いエリア(ハザードマップで赤色など)
    結論:絶対に買ってはいけない
    洪水、土砂災害などのリスクがあるエリアは、自治体のハザードマップで確認できます。命に関わる問題ですので、少しでもリスクが示されている土地は避けましょう。
  2. 地盤が不安定な土地
    結論:買ってはいけない
    建物が傾いていたり、基礎に大きなひび割れがあったりする場合、地盤が弱い可能性があります。地盤改良には高額な費用がかかるため、避けるのが無難です。
  3. 再建築不可など道路条件が悪い土地
    結論:原則買ってはいけない(専門家の助言が必須)
    「再建築不可」の土地は、火事で全焼しても家を建て直せません。住宅ローンが使えないなど制約も多く、素人が手を出すのは非常に危険です。2025年の建築基準法の改正により大規模修繕工事も不可能になりました。詳しく弊社稲葉のコラムをご一読ください。再建築不可とは。どこまでリフォーム可能か?費用は?|戸建てフルリフォームなら増改築.com
  4. 隣地との境界が曖昧な土地
    結論:要注意
    境界が確定していないと、将来隣人とトラブルになる可能性があります。「境界明示」が売買条件になっているか必ず確認しましょう。
  5. 周囲より低い土地
    結論:要検討
    雨水が流れ込みやすく、湿気がたまりやすい傾向があります。湿気は建物の大敵(腐食やシロアリの原因)です。大雨の日に現地を確認するのが理想です。

3-2. 建物編|安全な暮らしを脅かす5つの危険サイン

これから紹介する5つのサインがある建物は、購入するなら大規模なリノベーションが前提となります。そのまま住むのは避けましょう。

  1. 構造に問題がある(傾き・亀裂)
    費用が高額になる可能性:大
    ビー玉が転がる程度の傾きはよくありますが、ドアが自然に開閉したり、建具の建て付けが悪かったりするのは危険信号。基礎や外壁に幅の広い亀裂がある場合も構造に問題がある可能性があります。
  2. 雨漏りや水漏れの形跡がある
    費用が高額になる可能性:大
    天井や壁のシミは、雨漏りや水漏れのサインです。長期間放置されていると、見えない壁の内部で柱や断熱材が腐っている可能性が非常に高く、修繕費用は高額になります。
  3. 家全体がカビ臭い
    費用が高額になる可能性:大
    カビ臭い家は、結露や雨漏りにより、床下や壁の内部が腐食している可能性が高いです。カビはアレルギーなど健康被害の原因にもなります。
  4. シロアリ被害の兆候がある
    費用が高額になる可能性:大
    床がきしむ、柱を叩くと空洞音がする、といった場合はシロアリ被害を疑いましょう。被害が広範囲に及んでいると、建物の耐震性が著しく低下している恐れがあります。
  5. 特殊な構造でメンテナンスが困難な建物
    結論:物件による
    木造でも2×4工法や、大手ハウスメーカーの鉄骨造などは、一般的な工務店では構造計算や耐震補強が難しい場合があります。将来のリフォームに制約が出る可能性を理解しておく必要があります。

4. 安全な中古住宅購入のために知っておきたいこと

4. 安全な中古住宅購入のために知っておきたいことのイメージイラスト

リスクを回避し、安心して取引を進めるための最後の砦です。

4-1. 専門家の目でチェック!ホームインスペクションの重要性

ホームインスペクション(建物状況調査)とは、建築士などの専門家が第三者の立場で建物の劣化状況や欠陥の有無を診断するサービスです。

  • メリット:
    • 自分では見つけられない隠れた欠陥を発見できる
    • 購入後に必要となる修繕箇所や費用が明確になる
    • 診断結果を元に価格交渉ができる場合がある

費用はかかりますが、数千万円の買い物で失敗しないための「保険」として、特に築年数が古い物件では実施を強くお勧めします。

4-2. 契約前に最終確認!重要事項説明書のチェックポイント

契約直前に行われる「重要事項説明」は非常に重要です。専門用語が多く難しいですが、以下の点は必ず自分の耳で確認し、不明点は遠慮なく質問しましょう。

  • 物件の詳細: 登記簿の面積と実際の面積は合っているか?
  • 法律上の制限: 再建築や増改築に制限はないか?
  • インフラの状況: 上下水道やガスの配管状況は?
  • 契約不適合責任: 引き渡し後に欠陥が見つかった場合の保証内容と期間は?
  • ハザードマップ: 災害リスクの説明はあったか?

事前に書類のコピーをもらい、目を通しておくと、当日の説明がスムーズに理解できます。


5. まとめ|賢い中古住宅選びで理想のマイホームを手に入れよう

5. まとめ|賢い中古住宅選びで理想のマイホームを手に入れようのイメージイラスト

今回は、「買ってはいけない中古住宅」をテーマに、購入前のチェックポイントを解説しました。

  • 中古住宅の魅力とリスクを正しく理解する
  • 予算と希望条件の優先順位を明確にする
  • 「土地」と「建物」両方の危険サインを見逃さない
  • 不安な点は専門家(ホームインスペクション)の力を借りる
  • 契約内容は納得できるまで確認する

たしかに中古住宅にはリスクがあります。しかし、正しい知識を持って物件を見極め、適切な対策(性能向上リノベーションなど)を講じれば、新築以上に満足度の高いマイホームを手に入れることも可能です。

この記事が、あなたの賢い中古住宅選びの一助となれば幸いです。

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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著者情報 刈田知彰

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