2023.06.09
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簡単にわかる違法建築物の見分け方「建ぺい率(建蔽率)」「容積率」とは?中古住宅購入時の注意点は?

更新日2024/3/13

簡単にわかる違法建築物の見分け方「建ぺい率(建蔽率)」「容積率」とは?中古住宅購入時の注意点は?

 

 

 

 

1はじめに

東京で中古戸建てを購入する際に、違法建築物や既存不適格を見分けるポイントの一つに建ぺい率と容積率があります。今回は建ぺい率と容積率について詳しく解説していきたいと思います。

 

2建ぺい率(建蔽率)とは

以下は建築基準法の条文です。

(建ぺい率)

第53条  

建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建ぺい率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。

一  第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域又は工業専用地域内の建築物 十分の三、十分の四、十分の五又は十分の六のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

二  第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は準工業地域内の建築物 十分の五、十分の六又は十分の八のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

三  近隣商業地域内の建築物 十分の六又は十分の八のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

四  商業地域内の建築物 十分の八

五  工業地域内の建築物 十分の五又は十分の六のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

六  用途地域の指定のない区域内の建築物 十分の三、十分の四、十分の五、十分の六又は十分の七のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの

建築物の敷地が前項の規定による建築物の建ぺい率に関する制限を受ける地域又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の建ぺい率は、同項の規定による当該各地域又は区域内の建築物の建ぺい率の限度にその敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。

前二項の規定の適用については、第一号又は第二号のいずれかに該当する建築物にあつては第一項各号に定める数値に十分の一を加えたものをもつて当該各号に定める数値とし、第一号及び第二号に該当する建築物にあつては同項各号に定める数値に十分の二を加えたものをもつて当該各号に定める数値とする。

一  第一項第二号から第四号までの規定により建ぺい率の限度が十分の八とされている地域外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物

二  街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物

隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合又は第六十八条の二第一項の規定に基づく条例で定める壁面の位置の制限(隣地境界線に面する建築物の壁又はこれに代わる柱の位置及び隣地境界線に面する高さ二メートルを超える門又は塀の位置を制限するものに限る。)がある場合において、当該壁面線又は壁面の位置の制限として定められた限度の線を越えない建築物(ひさしその他の建築物の部分で政令で定めるものを除く。)で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建ぺい率は、前三項の規定にかかわらず、その許可の範囲内において、前三項の規定による限度を超えるものとすることができる。

前各項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。

一  第一項第二号から第四号までの規定により建ぺい率の限度が十分の八とされている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物

二  巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するもの

三  公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したもの

建築物の敷地が防火地域の内外にわたる場合において、その敷地内の建築物の全部が耐火建築物であるときは、その敷地は、すべて防火地域内にあるものとみなして、第三項第一号又は前項第一号の規定を適用する。

第四十四条第二項の規定は、第四項又は第五項第三号の規定による許可をする場合に準用する。

 

 

と記載されています。建蔽率とは簡単にいうと、「敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合」のこと。計算式は次のようになります。

 

建ぺい率(%)の求め方は

建ぺい率(%)=建築面積/敷地面積×100

 

建蔽率(建ぺい率)の要件緩和

建ぺい率を上乗せできる緩和条件というものがあります。

建ぺい率80%の地域以外80%の地域は建ぺい率の適用がなくなります。実質100%)で、火災を防いだり危険を除いたりすることを目的にした「防火地域」の「耐火建築物」「延焼防止建築物(耐火建築物と同等の延焼防止性能を有する建築物)」であれば、用途地域で規定されている建ぺい率に10%加えることが可能です。また、「準防火地域」で、「耐火建築物」

「延焼防止建築物(耐火建築物と同等の延焼防止性能を有する建築物)」「準耐火建築物」

「準延焼防止建築物(準耐火建築物と同等の延焼防止性能を有する建築物)」は建ぺい率10%加えることが「2019年の建築基準法改正」で可能になりました。

 

「角地」の敷地であれば、延焼を防止して、風通しにも支障がないと考えられるため、建ぺい率を10%加えることができます。

例えば、「防火地域」「耐火建築物」「角地(※1)」の3つを満たしているケースでは、建ぺい率に計20%を上乗せできることになります。

 

また、巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するもの公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものについては建ぺい率は適用されません。

 

建築物の敷地が防火地域の内外にわたる場合において、その敷地内の建築物の全部が耐火建築物であるときは、その敷地は、すべて防火地域内にあるものとみなして、第三項第一号又は前項第一号の規定が適用されます。すなわち緩和されます。

建ぺい率容積率のイメージ図

敷地面積を100とした場合は建ぺい率が40だった場合は上のような建物が上限になります。

 

 

3容積率とは

次に「容積率」について。建蔽率はいわゆる平面的な広さを制限するものですが、容積率は「敷地面積に対する3次元空間の割合」を算出し、制限するための基準になります。

 

以下建築基準法の条文です。

 

(容積率)

第52条  

建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下「容積率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値以下でなければならない。ただし、当該建築物が第五号に掲げる建築物である場合において、第三項の規定により建築物の延べ面積の算定に当たりその床面積が当該建築物の延べ面積に算入されない部分を有するときは、当該部分の床面積を含む当該建築物の容積率は、当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値の一・五倍以下でなければならない。

一  第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内の建築物 十分の五、十分の六、十分の八、十分の十、十分の十五又は十分の二十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

二  第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物又は第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域若しくは準工業地域内の建築物(第五号に掲げる建築物を除く。)十分の十、十分の十五、十分の二十、十分の三十、十分の四十又は十分の五十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

三  商業地域内の建築物 十分の二十、十分の三十、十分の四十、十分の五十、十分の六十、十分の七十、十分の八十、十分の九十、十分の百、十分の百十、十分の百二十又は十分の百三十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

四  工業地域又は工業専用地域内の建築物 十分の十、十分の十五、十分の二十、十分の三十又は十分の四十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

五  高層住居誘導地区内の建築物であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの(当該高層住居誘導地区に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、その敷地面積が当該最低限度以上のものに限る。第五十六条第一項第二号ハ及び別表第三の四の項において同じ。)当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値から、その一・五倍以下で当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計のその延べ面積に対する割合に応じて政令で定める方法により算出した数値までの範囲内で、当該高層住居誘導地区に関する都市計画において定められたもの

六  用途地域の指定のない区域内の建築物 十分の五、十分の八、十分の十、十分の二十、十分の三十又は十分の四十のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの

前項に定めるもののほか、前面道路(前面道路が二以上あるときは、その幅員の最大のもの。以下この項及び第十二項において同じ。)の幅員が十二メートル未満である建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を乗じたもの以下でなければならない。

一  第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内の建築物 十分の四

二  第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域内の建築物(前項第五号に掲げる建築物を除く。) 十分の四(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては、十分の六)

三  その他の建築物 十分の六(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては、十分の四又は十分の八のうち特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの)

第一項(ただし書を除く。)、前項、第七項、第十二項及び第十四項、第五十七条の二第三項第二号、第五十七条の三第二項、第五十九条第一項及び第三項、第五十九条の二第一項、第六十条第一項、第六十条の二第一項及び第四項、第六十八条の三第一項、第六十八条の四、第六十八条の五(第二号イを除く。第六項において同じ。)、第六十八条の五の二(第二号イを除く。第六項において同じ。)、第六十八条の五の三第一項(第一号ロを除く。第六項において同じ。)、第六十八条の五の四(ただし書及び第一号ロを除く。)、第六十八条の五の五第一項第一号ロ、第六十八条の八、第六十八条の九第一項、第八十六条第三項及び第四項、第八十六条の二第二項及び第三項、第八十六条の五第三項並びに第八十六条の六第一項に規定する建築物の容積率(第五十九条第一項、第六十条の二第一項及び第六十八条の九第一項に規定するものについては、建築物の容積率の最高限度に係る場合に限る。第六項において同じ。)の算定の基礎となる延べ面積には、建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ一メートル以下にあるものの住宅の用途に供する部分(共同住宅の共用の廊下又は階段の用に供する部分を除く。以下この項において同じ。)の床面積(当該床面積が当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の三分の一を超える場合においては、当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の三分の一)は、算入しないものとする。

前項の地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。

地方公共団体は、土地の状況等により必要と認める場合においては、前項の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い、条例で、区域を限り、第三項の地盤面を別に定めることができる。

第一項、第二項、次項、第十二項及び第十四項、第五十七条の二第三項第二号、第五十七条の三第二項、第五十九条第一項及び第三項、第五十九条の二第一項、第六十条第一項、第六十条の二第一項及び第四項、第六十八条の三第一項、第六十八条の四、第六十八条の五、第六十八条の五の二、第六十八条の五の三第一項、第六十八条の五の四(第一号ロを除く。)、第六十八条の五の五第一項第一号ロ、第六十八条の八、第六十八条の九第一項、第八十六条第三項及び第四項、第八十六条の二第二項及び第三項、第八十六条の五第三項並びに第八十六条の六第一項に規定する建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、共同住宅の共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする。

建築物の敷地が第一項及び第二項の規定による建築物の容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の容積率は、第一項及び第二項の規定による当該各地域、地区又は区域内の建築物の容積率の限度にその敷地の当該地域、地区又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。

その全部又は一部を住宅の用途に供する建築物であつて次に掲げる条件に該当するものについては、当該建築物がある地域に関する都市計画において定められた第一項第二号又は第三号に定める数値の一・五倍以下で当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計のその延べ面積に対する割合に応じて政令で定める方法により算出した数値(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内にあつては、当該都市計画において定められた数値から当該算出した数値までの範囲内で特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て別に定めた数値)を同項第二号又は第三号に定める数値とみなして、同項及び第三項から前項までの規定を適用する。ただし、当該建築物が第三項の規定により建築物の延べ面積の算定に当たりその床面積が当該建築物の延べ面積に算入されない部分を有するときは、当該部分の床面積を含む当該建築物の容積率は、当該建築物がある地域に関する都市計画において定められた第一項第二号又は第三号に定める数値の一・五倍以下でなければならない。

一  第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域若しくは準工業地域(高層住居誘導地区及び特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域を除く。)又は商業地域(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域を除く。)内にあること。

二  その敷地内に政令で定める規模以上の空地(道路に接して有効な部分が政令で定める規模以上であるものに限る。)を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上であること。

建築物の敷地が、幅員十五メートル以上の道路(以下この項において「特定道路」という。)に接続する幅員六メートル以上十二メートル未満の前面道路のうち当該特定道路からの延長が七十メートル以内の部分において接する場合における当該建築物に対する第二項から第七項までの規定の適用については、第二項中「幅員」とあるのは、「幅員(第九項の特定道路に接続する同項の前面道路のうち当該特定道路からの延長が七十メートル以内の部分にあつては、その幅員に、当該特定道路から当該建築物の敷地が接する当該前面道路の部分までの延長に応じて政令で定める数値を加えたもの)」とする。

建築物の敷地が都市計画において定められた計画道路(第四十二条第一項第四号に該当するものを除くものとし、以下この項において「計画道路」という。)に接する場合又は当該敷地内に計画道路がある場合において、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物については、当該計画道路を第二項の前面道路とみなして、同項から第七項まで及び前項の規定を適用するものとする。この場合においては、当該敷地のうち計画道路に係る部分の面積は、敷地面積又は敷地の部分の面積に算入しないものとする。

前面道路の境界線又はその反対側の境界線からそれぞれ後退して壁面線の指定がある場合において、特定行政庁が次に掲げる基準に適合すると認めて許可した建築物については、当該前面道路の境界線又はその反対側の境界線は、それぞれ当該壁面線にあるものとみなして、第二項から第七項まで及び第九項の規定を適用するものとする。この場合においては、当該建築物の敷地のうち前面道路と壁面線との間の部分の面積は、敷地面積又は敷地の部分の面積に算入しないものとする。

一  当該建築物がある街区内における土地利用の状況等からみて、その街区内において、前面道路と壁面線との間の敷地の部分が当該前面道路と一体的かつ連続的に有効な空地として確保されており、又は確保されることが確実と見込まれること。

二  交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないこと。

第二項各号の規定により前面道路の幅員のメートルの数値に乗ずる数値が十分の四とされている建築物で、前面道路の境界線から後退して壁面線の指定がある場合又は第六十八条の二第一項の規定に基づく条例で定める壁面の位置の制限(道路に面する建築物の壁又はこれに代わる柱の位置及び道路に面する高さ二メートルを超える門又は塀の位置を制限するものに限る。)がある場合において当該壁面線又は当該壁面の位置の制限として定められた限度の線(以下この項及び次項において「壁面線等」という。)を越えないもの(ひさしその他の建築物の部分で政令で定めるものを除く。)については、当該前面道路の境界線は、当該壁面線等にあるものとみなして、第二項から第七項まで及び第九項の規定を適用することができる。ただし、建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に十分の六を乗じたもの以下でなければならない。

前項の場合においては、当該建築物の敷地のうち前面道路と壁面線等との間の部分の面積は、敷地面積又は敷地の部分の面積に算入しないものとする。

次の各号のいずれかに該当する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの容積率は、第一項から第九項までの規定にかかわらず、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。

一  同一敷地内の建築物の機械室その他これに類する部分の床面積の合計の建築物の延べ面積に対する割合が著しく大きい場合におけるその敷地内の建築物

二  その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物

第四十四条第二項の規定は、第十項、第十一項又は前項の規定による許可をする場合に準用する。

 

分かりやすく解説していきます。

 

 

 

容積率(%)の求め方は

容積率(%)=延べ床面積/敷地面積×100になります。

 

建ぺい率容積率のイメージ図

敷地面積が100のときに1階のと2階合わせて80になります。すなわち容積率80となります。同じ40の大きさの3階があったとすると容積率が120となります。例えば、容積率が100以下ならば2階は建てれるが3階は20まで3小さくしないと建てられないという事になります。

 

 

前面道路の幅で容積率が変わります。

前面道路の幅

容積率は、基本的には用途地域ごとに規定された制限が適用されますが、その土地が面する前面道路の幅によって変わります。土地に面した道路の幅が狭い場合は、容積率がさらに制限を受けるということです。こうした土地ごとに定められる容積率を「基準容積率」といいます。

 

また道幅が極端に狭い場合は防火面を考慮し、境界から一定の範囲内に建物や外構物を建築せず空間を設ける必要があります。このように、道路に面した一定範囲に空間を設けることを「セットバック」と呼びます。

以下に、前面道路の幅が容積率にどのように影響するかをご説明します。

 

幅員が12m未満の場合の制限

前面道路の幅員が12m未満の場合、用途地域の区分に従って容積率に上限が設けられます。幅員12m未満の道路に面した土地に家を建てる場合、道路の幅に「4/10(40%)」または「6/10(60%)」を掛けた数値が容積率の上限です。

 

用途地域の区分と掛け合わせる数値は以下のようになります。

 

(1)第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域 4/10

(2)第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域 4/10

(3)その他 6/10

ただし、(2)(3)の区分には、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の判断を経て指定する区域での例外もあります。

 

例えば、上記(1)(2)の住居系の用途地域で、指定容積率が200%の土地が幅4.5mの道路に面している場合、基準容積率は「4.5m×40%=180%」です。

容積率は指定容積率・基準容積率のうち厳しい数値のものが適用されます。つまり建物を建てる際の容積率は180%以下に設定する必要があります。

 

幅員が4m未満の場合の制限

前面道路の幅員が4m未満の場合は、セットバック(道路の境界線から敷地を後退させること)が必要です。セットバックした部分は道路とみなされ、実際の敷地面積から除かれます。その分、敷地面積が狭くなるので、セットバックによって実質的に容積率が制限されます。

 

特定道路に接する場合

上記は逆に容積率が緩和されるケースもあります。「前面道路が特定道路に接続する場合の容積率の緩和」です。敷地の前面道路が6m以上で12m未満、かつ敷地の位置から70m以内に、幅員15m以上の「特定道路」と接する場合です。たとえ土地の目の前の道幅が狭くても、すぐに大きな道路に出られる場合は容積率が緩和されます。

 

 

容積率が緩和されるケース

 

容積率にも一定条件で制限が緩和されるケースがあります。

・建物内に地下室がある場合は、建物全体の3分の1までなら容積率の計算から除外することが認められています。

・建物内に駐車場がある場合も建物の5分の1までなら容積率の計算から除外されます。

・ロフトや屋根裏収納(1.4m以下)は、それらの階の床面積の2分の1までなら除外されます。

・また、バルコニー、ベランダなどの建物の外壁から出た部分が1メートル以内のものは、そもそも延床面積に算入されません。出窓や吹き抜けも同様に算入されません。

こちらを参考にしてください。

 

4建ぺい率や容積率はどうやって決められているの?

建ぺい率や容積率は建築基準法によって用途地域や防災地域等の種別ごとにそれぞれの上限が定められています。

 

用途地域とは、計画的に市街地を形成するため、建築できる建物の用途や建築の制限等の一定のルールを定めた制度のことを言います。

 

用途地域には13種類ありますが、大きく「住宅系」、「商業系」、「工業系」の3つに分けられ、さらに建築の規制や建築できる施設の種類などの制限により細かく分けられます。

建ぺい率、容積率も用途地域種別ごとに上限が設定されています。

 

建ぺい率や容積率の数値が高いほど、敷地に対して建物の面積は大きくなります。

しかし、日当たりや風通し、防災の面でも制限をする必要がありますし、住民がそれぞれ自由に建物を建てていては、住環境が損なわれ、様々な不都合やリスクが生じてしまいます。そのため、用途地域を定めることで都市の環境が保護されているのです。

 

用途地域       建ぺい率(%)上限     容積率(%)上限
第一種低層住居専用地域   30・40・50・60    50・60・80・100・150・200
第二種低層住居専用地域  30・40・50・60  50・60・80・100・150・200
田園住居地域  30・40・50・60  50・60・80・100・150・200
第一種中高層住居専用地域   30・40・50・60  100・150・200・300
第二種中高層住居専用地域  30・40・50・60   100・150・200・300
第一種住居地域  60    200・300・400
第二種住居地域  60    200・300・400
準住居地域   60   200・300・400
近隣商業地域  80    200・300・400
商業地域     80   200・300・400・500・600・700・800・900・1000
準工業地域       60   200・300・400
工業地域        60  200・300・400
工業専用地域    30・40・50・60    200・300・400

※正確な上限については各自治体に確認お願いします。

               

自分が住んでいる地域の用途地域は、市区町村の都市計画課で確認することが可能です。

また、各自治体のウェブサイトでも簡単に確認できるため、まずは検索してみてください。

 

 

5建ぺい率、容積率に関する注意点

建ぺい率や容積率以外にも建築制限はありますので注意が必要です。

建ぺい率、容積率以外の建築制限

建築制限に関する規定は、建ぺい率と容積率以外にもあります。

 

「絶対高さの制限」

主に低層住宅専用地域に適用され、建物の高さを原則10m、または12mに制限。

「斜線制限」

日当たりや風通しを確保するため、隣接する隣地や道路、住宅の北側への高さ制限。

「日影規制」

周辺エリアの日照を確保するために高さ制限を行う。

その他にも、各自治体によって定められた建築規制があります。

 

最終的には、建ぺい率、容積率、そしてこれらの高さ制限が組み合われて建築物の大きさが決まります。実際には建ぺい率や容積率いっぱいには建てられないというケースもありますので注意が必要です。

 

こうした様々な建築制限があることも覚えておきましょう。

 

用途地域がまたがるときの建築制限や建ぺい率と容積率は?

 

敷地の中で、2つの用途地域がまたがるとき、建築可能な建物用途は、敷地面積の過半を占める用途地域の建築制限が適用されます。

 

しかし、建ぺい率、容積率は按分計算で求める必要があります。

 

 

7建ぺい率、容積率をオーバーしたら住宅ローンが組めない可能性も

建ぺい率や容積率を守らずに建築してしまった場合には違法建築物となってしまいます。新築を建築中の場合は是正措置の対象になります。万が一見つからなかったとしても、銀行での融資や住宅ローンを利用することができません。

過去にはこのような違反物件は数多く建てられてきました。このような物件は中古市場に流通した場合、違法建築の物件は市場価値がなく流通が難しいため、担保価値がないと判断されますし、そもそも法律違反にあたるため住宅ローンの利用で基本的には組むことができません。

こうしたことにならないよう、規制に関する事前の確認や、不動産会社や建築会社といったプロへの相談は必ず行いましょう。

但し、建ぺい率、容積率の物件でも住宅ローンを組むことができる可能性はありますので、お困りの方はご相談ください。大事なことはプロセスとシチュエーションです。

 

詳しくはこちらをご覧ください

住宅ローンが組みづらい物件そしてその解決策を解説|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

中古住宅の選び方と注意点|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

 

過去にローンが通ったケース。

東京都の再建築不可2800万円のローンや建ぺい率と容積率オーバー物件の住宅ローンなどローンの審査が通ったケースは多々あります。また、エリアによってはその地域に違反建築物件が多い場合はそのことを熟知している近隣に銀行に相談すると割と融通を利いてもらえたりします。

 

8まとめ

今回は、建ぺい率と容積率について詳しく解説してきました。

これから新築でも中古でもマイホームを購入しようと検討中の方は、まずは対象物件のエリアの建築制限について勉強しましょう。

 

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構造計算の無い住宅について語ります。|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

2項道路について「建築基準法上の道路」|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

 

著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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著者情報 刈田知彰

 

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