目次
1. ペアローンと収入合算の違い|基本を理解しよう
共働き夫婦が中古一戸建てを購入する際、借入額を増やす方法として「ペアローン」と「収入合算」の2つの選択肢があります。名前は似ていますが、仕組みは全く異なります。
| 比較項目 |
ペアローン |
収入合算(連帯保証型) |
収入合算(連帯債務型) |
| 契約数 |
2本(夫婦それぞれ) |
1本(主債務者1人) |
1本(2人とも債務者) |
| 住宅ローン減税 |
夫婦それぞれ適用 |
主債務者のみ |
夫婦それぞれ適用 |
| 団体信用生命保険(団信) |
夫婦それぞれ加入 |
主債務者のみ |
主債務者のみ(一部例外あり) |
| 不動産の所有権 |
共有名義(持分割合を設定) |
主債務者の単独名義が一般的 |
共有名義 |
| 事務手数料 |
2本分(2倍かかる) |
1本分 |
1本分 |
| 主な取扱金融機関 |
メガバンク、ネット銀行等 |
多くの金融機関 |
フラット35、一部銀行 |
簡単にまとめると:
- ペアローン:夫婦が別々にローンを組む。2人とも住宅ローン減税を受けられるが、手数料は2倍
- 収入合算(連帯保証型):1人が借りて、もう1人が連帯保証人になる。手続きは簡単だが、保証人は減税を受けられない
- 収入合算(連帯債務型):1つのローンを2人で返す。フラット35で利用可能。2人とも減税OK
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2. ペアローンのメリット・デメリット
メリット
| メリット |
詳細 |
| ① 借入額を最大化できる |
夫婦それぞれの年収で審査されるため、合計の借入可能額が最も大きくなる |
| ② 住宅ローン減税がダブルで受けられる |
夫婦それぞれが最大140万円(ローン残高の0.7%×10年)の控除を受けられる |
| ③ 団信に2人とも加入できる |
どちらかが死亡した場合、その人の分のローンが完済される |
| ④ 金利タイプを分けられる |
夫は変動金利、妻は固定金利など、リスク分散が可能 |
デメリット
| デメリット |
詳細 |
| ① 諸費用が2倍 |
事務手数料・登記費用・印紙税がそれぞれ2本分。約30万〜50万円の追加コスト |
| ② 離婚時のリスク |
共有名義のため、離婚時に物件の処理が複雑になる。一方が住み続ける場合、ローンの借り換えが必要 |
| ③ 収入減少リスク |
一方が産休・育休・退職すると返済が苦しくなる可能性がある |
| ④ 団信の落とし穴 |
夫が死亡しても、妻の分のローンは残る(完済されるのは夫の分だけ) |
3. 収入合算のメリット・デメリット
連帯保証型のメリット・デメリット
| メリット |
デメリット |
| 手続きが簡単(ローン1本) |
保証人は住宅ローン減税を受けられない |
| 諸費用が1本分で済む |
保証人は団信に加入できない |
| 取扱金融機関が多い |
合算できる年収に制限がある場合も(50%まで等) |
連帯債務型(フラット35)のメリット・デメリット
| メリット |
デメリット |
| 2人とも住宅ローン減税OK |
団信は主債務者のみ(デュエットは割増保険料) |
| 諸費用が1本分で済む |
フラット35が中心で、選択肢が限られる |
| 金利が全期間固定で安心 |
変動金利より金利が高め |
4. 借入額・住宅ローン減税のシミュレーション比較
具体的な数字で、ペアローンと収入合算の差を比較してみましょう。
シミュレーション条件
- 夫:年収600万円、妻:年収400万円
- 物件価格:5,500万円(中古一戸建て+リフォーム費用)
- 金利:変動0.5%、35年返済
| 項目 |
ペアローン |
収入合算(連帯保証型) |
| 借入可能額 |
夫3,300万+妻2,200万=5,500万円 |
合算年収1,000万で約5,500万円 |
| 月々の返済額 |
夫85,600円+妻57,100円=142,700円 |
142,700円(1本で返済) |
| 住宅ローン減税(10年合計) |
夫約200万円+妻約130万円=約330万円 |
夫のみ約200万円 |
| 諸費用(事務手数料等) |
約150万円(2本分) |
約80万円(1本分) |
| 減税メリット−追加コスト |
330万−70万(追加分)=+260万円お得 |
200万円のメリット |
この例では、ペアローンの方が10年間で約60万円お得です。住宅ローン減税のダブル効果が諸費用の追加を上回ります。ただし、妻の年収が低い場合や、将来的に退職を予定している場合は、収入合算の方がリスクが低くなります。
???? 施工現場からのアドバイス
中古一戸建てを購入してリノベーションする場合、リフォーム費用もローンに組み込む「リフォーム一体型住宅ローン」がおすすめです。ペアローンでも一体型にすれば、物件価格3,500万円+リフォーム1,500万円=5,000万円を夫婦で分担して借りられます。リフォーム部分も住宅ローン減税の対象になるため、現金で払うよりお得なケースが多いです。事前にリフォーム会社の見積もりが必要なので、物件探しと並行してリフォーム相談を進めましょう。
5. どちらを選ぶべき?ケース別おすすめ
| ケース |
おすすめ |
理由 |
| 夫婦とも正社員で収入が安定 |
ペアローン |
減税ダブル効果が最大化。安定収入なら返済リスクも低い |
| 妻がパート・派遣の場合 |
収入合算(連帯保証型) |
パート収入でもペアローン審査が通らないケースがある |
| 将来的に出産・育休を予定 |
収入合算 or 控えめなペアローン |
育休中の収入減に耐えられる返済額に設定する |
| 全期間固定金利で安心したい |
フラット35(連帯債務型) |
2人とも減税OK+全期間固定金利の安心感 |
| 借入額を最大限に増やしたい |
ペアローン |
収入合算より借入可能額が大きくなることが多い |
| 諸費用を抑えたい |
収入合算 |
ローン1本分の諸費用で済む |
6. 夫婦でローンを組む際の注意点5つ
① 返済比率は「片方の収入だけで返せる範囲」に抑える
最も重要なのは、万が一一方が働けなくなっても返済が続けられること。理想は返済額を夫の収入だけで返せる範囲(返済比率25%以内)に抑え、妻の収入は繰り上げ返済や貯蓄に回す方法です。
② 持分割合は出資比率に合わせる
共有名義にする場合、持分割合は実際の出資比率と合わせるのが鉄則。例えば夫3,000万円・妻2,000万円のローンなら、持分は夫3/5・妻2/5。これがズレると贈与税が発生する場合があります。
③ 団信の補償範囲を確認する
ペアローンの場合、一方が亡くなってもその人の分のローンしか完済されません。夫婦連生団信(ペア団信)を選べば、どちらかの死亡で残りのローンも全額完済されますが、金利が0.1〜0.3%上乗せになります。コストと安心感のバランスを検討しましょう。
④ 離婚時の取り決めをあらかじめ考えておく
日本の離婚率は約35%です。デリケートな話題ですが、共有名義の不動産は離婚時に最もトラブルになりやすい財産です。ペアローンの場合、「売却して精算」が最もシンプルですが、一方が住み続ける場合はローンの借り換えが必要になります。
⑤ ライフプランの変化に対応できる余裕を持つ
出産・育休・転職・介護など、共働きの状況は変わりやすいもの。借りられる額の上限で借りるのではなく、余裕を持った返済計画を立てましょう。目安として、世帯年収の5〜6倍以内が安全な借入額です。
7. まとめ|ライフプランに合った選択を
ペアローンと収入合算の選び方のポイントをまとめます。
| ポイント |
内容 |
| 減税重視なら |
ペアローン or 連帯債務型(ダブル減税OK) |
| コスト重視なら |
収入合算(諸費用が1本分で済む) |
| 安全性重視なら |
片方の収入だけで返せる額に設定 |
| 固定金利希望なら |
フラット35の連帯債務型 |
| 最大の注意点 |
借りすぎに注意。世帯年収の5〜6倍以内が目安 |
共働き夫婦にとって、住宅ローンの組み方は「今」だけでなく「10年後、20年後」のライフプランを見据えて決めることが大切です。子どもの教育費、老後の資金、キャリアの変化──これらを考慮した上で、無理のない返済計画を立てましょう。
まずは気になるエリアの中古物件をチェックして、具体的な予算感を掴むところから始めてみてください。
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宅地建物取引士 刈田 知彰(かりた ともあき)
中古住宅売買の専門家。不動産業界16年のキャリアを持ち、新築マンション販売から中古戸建て・リノベーション専門へ転向。「買ってからがスタート」をモットーに、構造・耐震・断熱など建物の本質を見極めた住まい選びをサポートしています。
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