2022.12.16
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不動産の取引の売主が個人の場合、どのような影響があるの?売主が宅地建物取引業者と個人だった場合の違い

更新日:2024/1/12

 不動産の取引を行う際、売主が不動産業者と個人の場合、取引内容や税金、利用できる制度に違いが出てきます。
 建売住宅やマンションなど、新築の建売住宅の場合、売主の多くは宅地建物取引業者(法人)です。一方、中古住宅の売主が宅地建物取引業者であることも珍しくはありませんが、多くの場合は個人です。宅地建物取引業者(法人)と個人ではどの様な違いがあるのでしょうか?

 中古住宅の買主が個人であることを前提に、その違いを説明します。

 なお、売主が宅地建物取引業者でない法人であれば、消費税以外は個人と同じ扱いになります。

 

1 最初に、不動産の契約について

 まず、不動産の契約について考えてみましょう。不動産の契約は当然ですが、様々な関係法令や過去のトラブルから教訓を基に契約書が作成されています。但し、本来は、契約は当事者双方の意思によって成立します。個人の取引の場合だと仲介会社が中に入らない場合も考えられると思います。そもそも契約とはという所から考えていきたいと思います。

契約自由の原則

 契約は、当事者双方の意思表示(考えを表すこと)が合致することによって成立するものです

 契約は当事者の自由な意思に基づいて結ぶことができます。当事者間で結ばれた契約に対しては、国家は干渉せず、その内容を尊重しなければなりません。これを契約自由の原則といいます。「契約を結ぶかどうか」、結ぶとしても「誰と結ぶか」、「どのような契約内容にするか」について、当事者は自由に決めることができます。

 契約を結ぶ当事者の中には、「雇用主と労働者」、「事業者と消費者」など、必ずしも対等な関係とはいえないものがあります。このような関係において「契約自由の原則」を貫くと、力のある者に有利な契約ばかりが成立することになりかねません。
 そのため、労働者や消費者といった立場の弱い者を保護する観点から、一定の関係においては、法律によって契約自由の原則の例外が設けられています。

 売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合で買主が個人の場合はこれに近い条件になります。知識を持った不動産会社と知識を持たない買主ではどちらが有利になるのか明白です。

 売主と買主との契約内容は、法令に違反する、公序良俗に反するなどの問題がない限りは自由です。逆にいえば、契約は自己責任で締結することが原則ということです。もちろん、買主(消費者)が一方的に不利益を被る契約とならないよう一定の法整備がなされていますが、すべてをカバーできるわけではありません。最終的には自己責任でしっかりと契約内容を確認した上で、契約に臨むことが重要なのです。

 なお、契約に定めがない事項については、民法その他の関係法令に従い、協議の上で決定することとなります。したがって、重要な契約条件が不明確であると、契約後のトラブルにつながってしまいますので注意しましょう。

売り主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合には契約内容に制限がある

 不動産会社(宅地建物取引業者)が売り主となる場合には、買い主に不利益な契約が結ばれることのないよう、宅地建物取引業法により、不動産会社に対して、 契約内容に一定の制限が設けられています。これによって、不動産取引の専門家である不動産会社と直接契約を締結することとなる買い主を保護しています。

事業者と消費者の契約については消費者契約法の適用がある

 事業者と消費者との間には、情報力や交渉力等に差があることから、消費者契約法では、事業者と消費者との契約(これを「消費者契約」といいます)を対象 に、消費者保護を目的とした特別な契約ルールが定められており、不動産売買契約にも影響します。例えば、消費者が誤認などした場合には契約を取り消すこと ができるほか、消費者にとって不利益な条項(契約不適合責任など事業者の責任を免責する条項など)が無効になるなどの規定があります

 なお、消費者契約法における消費者とは個人を指しますが、個人であっても、事業のための契約などは消費者契約法の保護の対象とはなりません。あくまでも個 人が事業以外の目的で締結する契約が対象です。このように、不動産売買契約にも消費者契約法の適用があることを理解しておきましょう。

 これらの関連項目を含めて後述で解説していきます。

2 手付金の額の違いなど

 次に具体例として、違いをあげていきたいと思います。まずは、手付金の違いについてです。

 売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合、売買代金(消費税抜きの本体価格)の10%を超える手付金や、1000万円を超える手付金は保全措置が必要です。

 つまり、中古住宅の場合でも、業者が保全措置をとらずに受け取れる手付金は、販売価格の10%以下かつ1,000万円以下に限定されるのです。ちなみに、新築未完成物件の場合、手付金は販売価格の5%以下かつ1,000万円以下に制限されています。

 中間金の場合も同様です。手付金と中間金の合計額が売買価格の10%または1,000万円を超える場合は、保全措置を講じなければなりません。

 保全措置を講じた場合でも、不動産業者が手付金として受け取ることができる金額は売買代金の20%までとされています。

 一方、売主が個人の場合は、手付金の額に制限はありません。ただし、手付金が高すぎたり、極端に少なかったりすると、売主から不信感を持たれるなど、別の意味で問題が生じる可能性がありますので、ご注意ください。

3 契約不適合責任(瑕疵担保責任)の違いについて

 続いて、契約不適合責任いわゆる瑕疵担保責任についてになります。元々は、引き渡し後に発見された隠れた瑕疵に対する売主の責任とされていた。2020年4月1日に改正され契約不適合責任へと改められました。

(契約不適合責任の詳細はこちら)契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いについて契約不適合責任を徹底解説|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)をご覧ください。

 売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合、売主は常に契約不適合責任を負うこととなります。個人売主の場合、「契約不適合責任を負わない」という特約が有効とされることがあり、一定の築年数を経た建物にはこの免責事項が付されているケースがあります。

 通常の中古住宅の場合、売主が個人の場合、瑕疵担保責任期間は引渡し後3ヶ月以内とされることが多いが、1ヶ月、設備の場合は引渡し後1週間まで延長されるケースもあります。

売主が宅建業者の場合の契約不適合責任について詳しく解説していきます。

 注文住宅の新築や分譲住宅の売買においては、契約不適合責任の期間と容認事項の取り扱いについて、特に注意する必要があります。

①契約不適合責任の期間について

 施主・買主が、種類または品質に関して、施工業者・売主の契約不適合責任を追及する場合、契約不適合責任の責任期間内に、施工業者・売主に対して不適合の存在を通知しなければなりません。

 責任期間は原則として、「不適合を知った時から1年」です(民法第566条、第637条第1項)

 責任期間に関する民法の定めは「任意規定」であるため、特約による排除が認められます。

 ただし、新築住宅については、「品確保(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」における特則が存在します。すなわち、「構造耐力上主要な部分」および「雨水の侵入を防止する部分」については、「引き渡しから10年」の責任期間が強制的に適用されるので注意が必要です。

 また、以下の場合についても、施工業者・売主側の免責が認められないので気を付けましょう。

  1.不適合の存在を知りながら、施主(買主)に告げなかった場合

 2.自らの行為により、権利に関する不適合が発生した場合

 →いずれも契約不適合責任の免責が一切認められません(民法第572条、第559条)

 3.売主が宅建業者の場合

 →契約不適合責任の責任期間を「引き渡しから2年以上」とする特約以外の、買主の不利となる民法566条に関する特約をすることはできません(宅地建物取引業法第40条第1項)

 

②明記することで、契約不適合責任を回避可能

 ①は新築の場合についてになります。契約不適合責任は、あくまでも「目的物が契約内容とは異なること」について、売主(施工業者)側が負担する責任です。

 売主が不動産会社(宅地建物取引業者)でも、個人でも、不動産の売買契約書では、契約不適合責任の対象外とする事項を「容認事項」として記載することがあります

 施工業者・売主としては、責任を負いきれないものについては、容認事項として漏れなく列挙しておくか、特約として契約不適合責任の対象とならないことを明記しておくことが大切です。

 一方、施主・買主としては、容認事項や特約に記載されている内容の中で、受け入れ困難なものがないかを必ずチェックしましょう。①の項目は注文住宅の新築や分譲住宅の売買になりますので、混合しないように整理して覚えましょう。

4 登録手続きの違い

 基本的には、両者の間に違いはありません。ただし、個人売買の場合は、売主に抵当権が設定されており、取引の対象となる不動産に抵当権が設定され、その不動産を売却したお金で抵当権を抹消することが多いようです。

 これらの手続きは、1つの金融機関で最短15分~30分長ければ2時間程度で終わります。複数ある場合は、買主が決済に立ち会い、その間ずっと待っていることが多いので大変です。

 売主が不動産業者であれば、抵当権が設定してあったとしても事前に対応し、こうした煩雑な手続きのほとんどを省くことができます。

 個人間売買の場合は抵当権が設定してある場合は抵当権抹消手続きでトラブルが起こることが考えられますので、相手方に確認を取りましょう。

5 クーリング・オフ制度の適用

 不動産購入のクーリング・オフ制度は、一定の条件のもと、売主が不動産業者である場合にのみ適用されます。売主が個人の場合は、いかなる場合もクーリング・オフ制度は適用されません。

 個人が売主の場合の契約手続きに問題がある場合、別の法令で仲介業者等が責任を負うことが定められています。

 売主が宅地建物取引業者で、買主が業者でない一般のユーザーである場合にはクーリング・オフを利用することが出来ます。しかし、不動産の取引は大金が動く取引となりますので、「やっぱりやーめた」と簡単に解約されてしまうと、業者と言えども健全な会社運営が困難になってまいります、そこで、クーリング・オフについては下記のようなルールが設けられています。

「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所等以外の場所において当該宅地または建物の買受けの申込みをした者または売買契約を締結した買主は、一定の条件のもとで申込みの撤回または契約の解除ができる」

 まずは、申込みまたは契約を行なう場所についてですが、事務所等とは「売主業者の事務所」、「売主の代理業者」や「媒介業者の事務所」、「モデルルーム」や「案内所」などで宅地建物取引主任者を置くべきとされる場所のときにはクーリング・オフ制度の適用対象外となります。その他、買主自身が申し出た場合における、買主の自宅または勤務先での申込みや契約を行った際も、クーリング・オフ制度の適用が対象外となります。

 忘れてはいけないのは、「買主自身が申し出た場合」という事です。自宅や勤務先に押し掛けて無理に買受けの申込みを受けたり売買契約を締結させたりした場合にクーリング・オフの対象となるわけです。

 また、双方の合意があった場合でも、喫茶店やレストランなどで交わされた申込みや契約にはクーリング・オフが適用されます。

 クーリング・オフ制度の適用は「8日間」となっていますが、申込みまたは契約の締結をした日から8日間ではなく、宅地建物取引業者から “申込みの撤回や契約の解除を行なうことができる旨とその方法等” を告げられた日から8日間(告げられた日を含む)です。また、自宅や勤務先で契約などが交わされた場合には、「買主が自ら申し出たのかどうか」をめぐって争いになることがあるため、申込書または契約書、覚書等にクーリング・オフの内容を記載します。

 また、8日以内であっても対象物件の引き渡しを受け買主が代金の全部を支払ったとき(一括決済などの場合)には、クーリング・オフ制度が適用されません。

 クーリング・オフによる申込みの撤回や契約の解除の意思表示は書面によることが必要とされ、その書面を発したときに効力が生じます。また、その書面に証拠力を持たせるために、配達証明付内容証明郵便によることが適切とされています。そのため、“告げられた日” を含めた8日目までに郵便局の窓口で手続きができれば万全ですが、8日目が土日にあたるときには注意が必要です。また、通常の郵便や電話による意思表示でも無効ではありませんが、トラブルとなった場合に証拠力不足は否めません。

 なお、買主からクーリング・オフの申し出があったとき、宅地建物取引業者はすでに受け取った申込み金や手付金などの金銭がある状態にあると思います。その際には、速やかに買主へ返金されます。

 また、不動産業者によるトラブルを耳にしたことがあります。申込証拠金をはじめ、手付金などクーリング・オフにより本来買主に返金されるべきお金が返金されないトラブルを耳にします。状況によっては返金されない場合もありますが、基本的にはこちららに落ち度がなければ、返金されますので、トラブルの際は諦めずに交渉していきましょう。

コチラのコラムでクールングオフについて解説しています。

不動産取引でクーリングオフは可能か?注意点を解説|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

6 売買価格の違い

 個人と宅地建物取引業者いわゆる業者の売買価格の違いについて触れたいと思います。

個人と業者では業者の物件の方が売買価格が高くなります。なぜ業者物件は高くなるのでしょうか。

 最初に宅地建物取引業者が売主だからといって、必ずしも市場価格より高く売れるとは限りません。市場価格に基づいて売却するのが基本です。しかし、商売である以上、当然利益は上乗せされます。つまり、安い値段で仕入れて、市場価格で売らなければならないということです。世の中には、様々な事情で所有する不動産の換価を急がなければならない人がいます。そのような不動産を不動産業者(再販業者)が買い取り、消費者に転売するケースもあるかもしれません。がしかし、そのような物件が多く出回っているわけではありませんので、物件数を多く取り扱う事が難しくなります。事実として、勢いがある会社は相場よりも高く値段を指してきます。ですが、当然、宅地建物取引業者が売主だからといって、必ずしも市場価格より高く売れるとは限りません。そこで、行われるのがリフォームです。中古住宅はリフォームなどで価値が上がるため、不動産業者はニーズに合わせてリフォームを行いバリューを出すのです。という事で、販売する物件よりも業者が販売する物件の方が販売価格が高くなるケースがほとんどになるのです。「買取再販の手法にはいろいろありますが、別の機会に解説したいと思います。気になる方はご登録お願い致します。」

 また、そのようなリフォームの問題点も近年浮き彫りになっています。その問題点というのは耐震等級1以下の物件が多くなることです。ここまでお話したようにリフォームは金額重視になってしまいます。当然見栄えが良いものが優先され一番重要な性能についてはおざなりされてしまう事がほとんどです。

売買価格に差が出る理由がもう一つあります。消費税です。

消費税は、建設業者が売主の場合のみ課税される。
 .詳しく解説しますが、業者が売主の場合、消費税は本体価格のうち建物部分に対して課されます。(業者が売主の場合でも、土地部分には課税されない。)

 広告には消費税込みの総額しか書かれていないことが多いですが、重要事項説明書や売買契約書には内訳(土地代、建物代、消費税額)を明記する必要があります。

 なお、売主が個人の場合は、消費税が課税されないことは言うまでもありません。

7 仲介手数料の違い

 いわゆる媒介手数料についてですが、宅地建物取引業者が売主の場合、売主と直接売買契約を締結すれば、仲介手数料は必要ありません。しかし、仲介業者を介して購入する場合は、宅地建物取引業者が売主でももちろん個人でも仲介手数料が必要となります。つまり、仲介手数料の支払いは行われます。

 ただし、業者が売主の場合、物件価格には消費税が加算されていますので、総額が同じ金額でも個人ではなく業者が売主の場合の方が少しだけ安くなることが考えられます。

8 リフォーム内容の違い

 売主が個人の場合は、売却時にリフォームを行っているケースは多くはないです。リフォームを行っている場合でもクロスの張替え程度のものが多くなるっていると思います。また、リフォームを売却を決める前に行っているケースも存在します。外壁塗装工事や水回り、クロスの張替え工事などです。場合によっては耐震補強工事を行っていることもあります。

 売主が宅地建物取引業の場合は前章にもでてきました、契約不適合責任を免責にすることはできませんので、壊れている箇所はリフォームされて引き渡されることとなります。例えばキッチンの水栓から水漏れしていた場合は修理してからお渡しするわけですが、このような場合、システムキッチン全体が劣化しているケースが多くなりますので、キッチンごと交換することとなると思います。その他の箇所も同様で、全体をリフォームする流れとなります。また、中古戸建ての場合は、東京中古一戸建てナビでは、耐震補強工事、断熱補強工事を推奨しておりますが、例え売主が宅地建物取引業の場合であったとしても、補強工事を行っていない場合が多いので注意が必要です

9 消費税の違い

 消費税は、商品やサービスを提供し取引した際に支払い義務が発生する税金です。消費税の課税対象については、「消費税の課税の対象となる取引は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け、及び役務の提供と外国貨物の輸入」(国税庁)とされています。

 実際は、商品を購入した際に事業者(宅地建物取引業者)が、納税者に代わり国に支払います。また不動産売買の場合には、土地には消費税はかからず建物にのみかかります。土地は消費されるものではないからです。個人間での不動産取引の場合は、課税事業者ではないため、建物も消費税が発生しません。

不動産売買における消費税は、主に以下の内容にかかります。

建物代金
仲介業者への報酬
司法書士への報酬

個人が売主になる取引では建物に消費税はかかりませんが、法人が売主になる取引では建物には消費税がかかります。

例えば、土地と建物を合わせて5,000万円で売却する際には、土地金額(4,000万円)と建物金額(1,000万円)に分けます。個人の場合はそのまま5,000万円で売却できるのですが、法人となると土地金額(4,000万円)と建物金額(1,100万円)の合計5,100万円で売却することになります。

 商品を購入したりサービスを利用したりする時には、消費税を納税しますが、その消費税は法人や特定の個人事業主などの課税事業者が国に納めるのが消費税納税の仕組みです。ですので、個人が売主になる場合は課税事業者ではないので、納税の義務は発生せず法人の場合のみに発生します。建物だけの消費税を算出するには、土地と建物をそれぞれ分割して売却価格を出さなければなりません。また、土地と建物金額の按分は売主である事業者(宅地建物取引業者)が決定します。

10 入居後のアフターサービスの違

入居後のアフターサービスについての違いについては、大きくわけて4つのパターンに分類されます。

①売主、買主ともに個人間売買の場合

➁売主が宅地建物取引業者で買主が個人の場合(新築)

③売主が宅地建物取引業者で買主が個人の場合(中古)

④売主が個人で買主が宅地建物取引業者の場合

の4パターンです。

 大前提として契約は自由の原則がありますので、それぞれ個別で定めても良いので、正解ではなく、「普通なら」「標準的」な説明になりますので、ご理解下さい。

 1つ目の売主、買主ともに個人間売買の場合ですが、アフターサービスは基本的にはありません。取引の相手方も個人になりますので、分からない、判断できない、修理等できないという状態になるからです。ですが、買ったばかりの家が急に壊れたら、金銭的にも精神的にも辛いと思います。そのため契約不適合責任の取り決めが重要となってきます。設備系に関しては1週間、屋根や主要構造部については3カ月から半年程度の契約不適合責任を負う事となります。もしも雨漏りがあった場合には修理等をして欲しいとお願いすることができるのです。ですが、契約は自由の原則があり、個人間売買の場合は契約不適合責任免責と定めることもできますので、そのような場合は万が一欠陥住宅だとしても保証をしてもらえません。正確に言えば契約不適合責任免責の範囲となります。

 実際の取引、契約ではこのように進んでいきますが、実際には中古で購入して住んでいたらキッチンから水漏れが起こったしかも1週間を丁度すぎてしまったなんてことも起こります。本当は知っていて隠していたのでは?と疑ってしまいたくなることが起こってしまいます。その為、住まれる前、住んでから、しっかりとチェックしておくか、住んだタイミングで大規模なリフォームを行うと良いのではないでしょうか。リフォームを行った場合は、リフォーム業者からのアフターサービスが新たに開始されることとなるでしょう。

 

2つ目の売主が宅地建物取引業者で買主が個人の場合(新築)

 売主が新築の場合は事業者は契約不適合責任を負う事となります。住宅の保証として、『主要構造部の欠陥と雨もり(瑕疵担保責任)』の10年保証をベースに、外壁材や床材、建具やクロスなどの各仕上げ材に1~2年の保証、その他の住宅設備に関しては設備のメーカー保証期間を合わせて『住宅の保証』としています。保険と保証の違いはありますが、大手ハウスメーカーでも中小の施工会社でもほぼ同じと考えても構いません。

 

3つ目の売主が宅地建物取引業者で買主が個人の場合(中古)

 宅地建物取引業者が売主の場合は、売主の会社の方針によるところが多くなります。アフターサービスがある会社ない会社、良心的な優良価格の会社など様々です。どのようなサービスになるかは契約時に各々確認が必要となります。個人が売主の場合と違い但し契約不適合責任免責と定めることはできません。

宅地建物取引業法 (抜粋)
(瑕疵担保責任についての特約の制限)
第四十条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕
疵を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百七十条において準用する
同法第五百六十六条第三項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
2 前項の規定に反する特約は、無効とする。

とあるからです。ですので、基本的には、中古で考えられる摩耗などは、対象外となり、交換した設備等はメーカー保証の範囲ない、その他重要な部分は2年と定められていることが多いと思います。

4つ目の売主が個人で買主が宅地建物取引業者の場合です。

 この場合は、基本的には契約不適合責任免責で取引をします。欠陥がある場合はそれに応じて適切な見学を明示することがプロになりますので、プロが買主の場合は契約不適合責任免責の取引が主となります。

 中には、目視しづらい箇所や状況もありますので、それらが特約によって条件を付けて契約します。例えば、売主が居住者が自殺している場合など、申告されないとわからない内容もあったりはします。

 最後に余談ですが、売主、買主共に宅地建物取引業者が考えられますが、この場合の取引は会社の方針によって様々になります。取引を怠けると宅地建物取引業者でも痛い目に合ってしまいますので、日ごろの調査や取引際は重要です。

11 まとめ

 売主が個人の場合と、法人の場合とでは違いがあります。取引方法には直接的、間接的な違いがあります。

 売主が個人の場合の注意点は、購入後の保証についてだと思います。上記で「契約不適合責任」という言葉が何度もでてきましたが、売主が不動産業者の場合、何らかの損害があれば対応してもらうことが可能ですが、個人の場合はそうもいきません。トラブルがあった場合(トラブルの内容にもよりますが)、やはり中古物件の購入はリスクがあると言わざるを得ません。この問題を解決するのが、近年注目されている性能向上のためのリノベーションです。性能向上のためのリノベーションを行うことで、新築住宅と同等の保証を受けることができるので安心です。

物件の購入を検討されている方は、売主が誰なのかをご確認ください。

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

新築戸建てから中古戸建てのことならなんでもご相談ください!

著者情報 刈田知彰

この記事に出てきた大きなポイント「契約不適合責任」はこちらの記事をお読みください。
https://www.chukokodate.com/column/detail/?p=20

 

増改築.comでは瑕疵担保責任が契約不適合責任にかわりましたhttps://www.zoukaichiku.com/usedhouserenovation/anserを解説しております。

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