2022.11.09
不動産ガイド 調査 既存不適格 水害 ハザードマップ

水害法の改正について『将来もしかしたらお住まいの住宅が、既存不適格物件になってしまうかも』

更新日2023/12/13

水害法の改正と特定都市河川浸水被害対策法改正について

 

1.水害法の改正について

(東京都以外にお住まいの指定方は各法の指定権者に確認をお願いします)

 

 今回は水害法改正についてふれたいと思います。これから東京都で中古住宅を購入ようとしている方は必ずお読みください。そして既に住まれている方も知っておいた方が良い内容となります。

 

 令和3年5月10日に、水防法や特定都市河川浸水被害対策法など多くの水害に関する法令が改正され公布されました

 改正に関して不動産取引で今後気を付けないといけない点がありますので、今回は水防法特定都市河川浸水被害対策法に関連して注意しなければならない点について解説します。知らなければ、あなたが購入しようと検討中の家やあなたの家も知らず知らずに既存不適格物件になってしまう可能性もありますのでこのコラムを参考にしてください。

 

まず改正法令を簡単にご説明します。

 

1-1水防法の改正について

 令和3年に洪水・内水・高潮のすべてにおいて浸水想定区域の対象が拡大されました。(法14条・14条の2、14条の3)

 

 不動産の重要事項説明にも利用されるハザードマップは浸水想定区域をベースに作られております

 この浸水想定区域は3種類あります。洪水、内水、高潮です。

それぞれ決まった河川、下水、海岸があります。洪水の場合は洪水予報河川と推移周知河川、内水に場合は水位周知下水道、高潮の場合は水位周知海岸が決まっており区域を決めていましたが、近年水害被害や自然災害の多発を踏まえて対象範囲の広がりを検討しており、更なる拡大が見込まれます。

 

 国の政策では、令和7年度までを目標に想定区域の見直しをしています。洪水ではすべての一級、二級河川に洪水浸水想定区域を設定、雨水出水まずは緊急性の高い約800団体で雨水出水浸水想定区域を設定、高潮浸水想定区域の見直しを令和7年度までに新たに浸水想定区域を定めることになります。

 

 つまり現状のハザードマップは暫定的な状態で、被害の想定区域は拡大される可能性が高いのです。

 

1-2特定都市河川浸水被害対策法の改正(行為制限の追加)

 これまで法の行為制限で重要事項説明の対象であった雨水浸透阻害行為の許可などに加え、以下の行為制限が追加されました。

 

雨水貯留浸透施設の管理協定(法24条)

②貯留機能保全区域の届出(法55条)

③浸水被害防止区域での開発・建築行為の許可(法57条、66条)

また水害に備えて地区整備計画に、地盤面や居室の床面の高さの最低限度を定めることができるようになりました(法12条の5第7項2号)

 

地区計画は市区町村が指定するものになり、すぐに指定することができますし浸水被害防止区域に合わせて指定されるかもしれません。

 

地区計画のエリアに指定された場合、今現在の住宅が存在する地区計画内の建物は国交省の回答によれば既存不適格建築物扱いになります。

もちろん既得権はありますが、増改築等を行う場合は、原則として制限に適合させる必要がでてまいります。

題名にもしましたが、もしかしたら、購入した物件が1年後に既存不適格建築物になってしまう可能性があるのです。

 

※浸水被害防止区域基準は水位が3m以上のエリアが指定される?

 例えば戸建て住宅だと2階に行けば浸水の被害から一時的ではありますが、逃れることが可能になります。基準水位3mというのが一つの基準となりそうです。自治体判断になりますので、必ずというわけでなく確認が必要です。お住まいの最寄りの自治体に確認をお願いたします。

 

浸水被害防止区域

浸水被害防止区域内において以下の行為を行うときは、都道府県知事(または指定都市の長)の許可が必要

  • 制限用途を予定建築物とした開発行為
  • 制限用途の建築行為

 

一言で言えば住宅や学校医療施設予定建築物として開発行為は許可が必要になります。

また用途が決まってない場合も許可が必要になります。

 

1-3今後気を付けるべき点や対策

  • 市町村で公表されているハザードマップはすべて調べる。
  • 指定権者の浸水想定区域図、公表されていれば浸水実績図を調べる。
  • 担当部署に電話をして聞いてみる。

 これまでのハザードマップに浸水想定区域外か区域指定されたり、法の対象外のマップが重説の対象となることが予想されます。

浸水実績図とあわせてHPを確認して下さい。

前項の①と③について、これまで浸水リスクに行為制限はありませんでしたが、今後は規制されるようになります。

 

 以上の令和7年度まで水害に関しての情報が新しくより広範囲になることが容易に想定されます。

国から都道府県そして各自治体へと情報交換がなされることになると思いますので、かなりの時間がかかる事タイムラグが発生する事が想定されますし、昨日調べた情報が一新されているケースも考えられます。

物件の購入やリノベーションやリフォームをご検討の方は必ず調べてから購入やご検討を進める事が重要となります。

 

 

 

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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著者情報 刈田知彰

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