2023.10.20
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所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例について

3000万円特別控除の特例

 

 

はじめに

 前回に続いて、マイホーム(居住用財産)を売却した場合の特例についてご紹介させて頂きます。前回は3000万円の特別控除の特例について解説致しましたが、マイホーム売却時に使える3000万円の特別控除について徹底解説|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)今回は所有期間10年超の場合の特例について追加で解説したいと思います。 

戸建てやマンションなどの居住用不動産を売却する場合、10年を超える所有期間であれば譲渡所得に対して軽減税率が適用されます。

 本来であれば譲渡所得税や住民税などを合わせ、約20%の税率になるところ、特例を使えば6000万円以下14.21%、6000万円超の部分15.31%まで税率を下げることができます。

軽減税率が使えた場合(譲渡所得が6,000万円以下の場合)仮に1,000万円の譲渡所得があった場合、一般税率と軽減税率では納税額に60万円以上の差が出ます。

3000万円の特別控除の特例と併用すればさらに節税効果は高くなるので、長期間(10年以上)所有した自らが住んでいるマイホームを売る際には利用したい制度になります。

それでは特例の適用条件などを解説していきたいと思います。

 

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

 その譲渡した年の1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合に、通常の場合の税率(20%)が軽減されます。

 この制度は、個人が、その年の1月1日において所有期間が10年を超える状の居生用財産を譲渡した場合に適用されます。
 ①現に自ら住んでいる住宅
 ②以前に自ら住んでいた住宅で、自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までに譲渡したもの
 ③①や②の住宅およびその敷地の譲渡
 ④災害によって滅失した①の住宅の敷地で、その住宅が滅失しなかったならば、その年の1月1日における所有期間が10年を超えている住宅の敷地
 ただし、その災害があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡したものに限ります。

 

 この特例はマイホーム売却時に使える3000万円の特別控除について徹底解説|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)で説明した3000万円の特別控除とセットで利用することができます。

 所有期間10年超という条件以外は、3000万円の特別控除の要件と同じです
 

 

税率について

 3000万円の特別控除後の譲渡益について、次の税率で課税されます。

課税長期譲渡所得金額(3000万円の特別控除後)

 なお、平成25年より復興特別所得税として、所得税額の2.1%が別途かかります。
 

〇3000万円の特別控除後の譲渡所得のうち6000万円以下の部分…......10%
                             (ほかに住民税4%)
〇3000万円の特別控除後の譲渡所得のうち6000万円を超える部分.......15 %
                            (ほかに住民税5%)

 

課税長期譲渡所得金額(3000万円の特別控除後)復興特別所得税上乗せ後の税率の表

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の注意点(旧耐震基準の場合)

 新耐震基準ではない住宅を譲渡した場合は居住年数10年を超えていたとしても、所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例を利用することはできません。

このような場合では耐震改修工事を行い新耐震基準にリフォーム・リノベーションする必要があります。

 

 このようなケースでお悩みの方もお気軽にご相談ください。

 

 その他、この特例は3年に1度しか使えません。また、併用できない特例も数多くありますので確認が必要です。

 

 

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例を受けるために必要な提出書類等を受けるために必要な提出書類等

確定申告書に次の書類を添えて提出してください。

(1)譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]

(2)売った居住用家屋やその敷地の登記事項証明書

なお、マイホームの売買契約日の前日においてそのマイホームを売った人の住民票に記載されていた住所とそのマイホームの所在地とが異なる場合などには、戸籍の附票の写し、消除された戸籍の附票の写しその他これらに類する書類でそのマイホームを売った人がそのマイホームを居住の用に供していたことを明らかにするものを、併せて提出してください

ケースによっては上記以外にも税務署からの指摘により追加の書類が必要になる場合もあります。まずは管轄の税務署に相談し確定申告の準備をしましょう。

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の事例

それでは例として東京都品川区に住まれるA様邸について計算してみます。

A様は昭和42年に東京都品川区で土地と住宅を2000万円で購入し暮らしていましたが、令和4年6月に12,500万円で売却しました。
なお、A様には、その他の課税所得が600万円あり、売却した際の譲渡費用として400万円かかっています。また、住宅の減価の額は200万円でした。


• この場合の居住用財産の売却にかかる譲渡所得の所得税額及び復興特別所得税額と住民税額は
(1) 所得税額
① 12,500万円-(2,000万円-200万円)-400万円=10,300万円
➁ 10,300万円-3,000万円(特別控除)=7,300万円
③ 6,000万円以下の部分・・・・・・・6,000万円✕10%=600万円
 6,000万円超の部分・・(7,300万円- 6.000万円)✕15%=195万円
 600万円+195万円=795万円...…所得税額
(2)復興特別所得税額
795万円✕2.1%=166,950円...…復興特別所得税額
(3) 合計(1) + (2)
705万円+168,950円=8116,050円→8116,200円(合計)
(4) 住民税額
6.000万円x 4%=240万円
(7.300 万円-6.000万円) × 5%=65万円
240万円+65万円=305万円……住民税額

結果

795万円...…所得税額

166,950円...…復興特別所得税額

305万円……住民税額

となりました。

 

まとめ

 前回の3000万円の特別控除に続き所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例について利用できるよう要件から、必要書類、税金の計算方法まで解説しています。是非ご活用下さい。

 

 


著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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著者刈田の写真


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