2023.07.07
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民放改正後『相隣関係』のポイントをご紹介

更新日:2023/8/22

民放改正後相隣関係のポイントをご紹介

 

2021年の民法の改正により相隣関係規定がかわりました。そして2023年4月1日より施行されました。

 相隣関係規定には大きく3つありますので、今回はその3つに関して解説していきたいと思います。

 

隣地使用権(民法209条)

一定の目的のためであれば、必要な範囲内で、隣地所有者の承諾なしに隣地を使用することができるとされました。

その目的とは以下の通りです。

 

①境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕

②境界標の調査又は境界に関する測量

③隣地に生えている竹木の枝の切取り(※)

(※枝の切り取りに関しては後述詳しく解説します)

 

 ただし、承諾不要とは言っても、使用するときは、あらかじめその目的、日時、場所と方法を隣地所有者及び使用者に通知しなければならないとされています。また、当然に隣地にとって損害(負担)が少ないものを選ばなければなりません。なお、隣地所有者が不明のときは、所有者が分かった後に通知すればよいとされています。

 

 

中古住宅を購入した場合、隣地との境界の部分に、フェンスやブロック塀を設置したい場合や現状の塀などを補修したい場合、隣地に立ち入り作業を行う場合には隣地所有者の承諾が必要でしたので、前もって隣地の許可を求めることが必要でしたが、近年では隣地所有者が不明であることも珍しくありませんから、そういったときは、承諾を得ることが難しくなります。そこで、この度の民法改正に至ったのです。中古住宅購入前にこのような心配事が解消できるような改正となっています。

 

 

 

ライフライン設置権(民法213条の2)

 新たに建物を建てるときなど、そこに電気・ガス・水道等を引き込むにあたって、周囲の土地を通過したり、他の土地上の設備を使用せざるを得ないことがあります。

 

 そういう場合は、必要な範囲で、他人の土地に設備を設置したり、他人の設備を使用することが可能となりました。これは、電気・ガス・水道に限らず、電話やインターネット等の電気通信も適用されます。

 

 こちらも、周囲の土地の所有者の承諾は不要になります。ただし、その目的、場所、方法を土地や設備の所有者に(所有者以外に使用している者がいた場合にはその使用者にも)事前に通知しなければなりません。

通知の相手方が不特定・所在不明であっても、例外なく事前に通知が必要です。したがって、このような場合には、簡易裁判所の公示による意思表示(民法98条)を利用することになります。

損害が最も少ないものを選ばなければならないことは隣地使用権と同様です。

 

【注意点】

隣地使用権と同様、設備設置を承諾せず、妨害するような場合には、妨害を排除して工事を強行できるわけではありません。このようなケースでは、裁判によって判決等を得て、権利を実現することになります。また使用料とも決める必要があります。

 

 

越境した竹木の枝の切取り(民法233条3項)

 隣地に生えている竹木の枝が、境界線を越えて伸びてくることはよくある話です。ですが、「根は切っていいが枝はダメ」という話を聞いたことはございませんか。原則としては、越境された土地の所有者は勝手に枝を切ることはできません。まずは、その木の所有者に「切ってください」と請求できるに留まります。すぐに所有者が切ってくれるのであれば、何の問題もないわけですが、切ってもらえない場合や、所有者がわからないので勝手に切ることができないケースなどが多発していました。

 

 そこで、一定のケースにおいては、越境された土地の所有者が、枝を自ら切り取ることができるようになりました。それは次のような場合です。

 

①竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき

切ってくださいと請求したにもかかわらず、木の所有者が対応してくれない場合です。ここでの相当の期間内とは、事案によりますが、2週間程度とされています。

 

②竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

木の所有者(隣地所有者)が不明の場合や所在が不明な場合です。木を切ってくださいと請求のしようがないですし、所有者を探す労力が多くかかってしまうからです。

 

③急迫の事情があるとき。

例えば台風が迫っていて、急いで切らないと枝等が暴れて被害が生じる可能性があるような場合です。所有者が対応してくれるのを待っていては時間がかかってしまいその他の台風の対応ができなくなってしまう恐れもあります。

 

 

共有者各自の枝の切除

越境された土地の所有者は、共有者全員に対して請求する必要はなく、その1人に対して切除を求めることができ、竹木の共有者1人から承諾が得られれば、越境された土地所有者等の他人が枝を切り取ることができます。

 

隣地使用権のところで少し触れましたが、この枝を切り取るときには、必要な範囲内で隣地を使用することができるとされています。

 

 

まとめ

今回の改正で中古住宅を購入前にしなければならない決めごとが少し緩和することができました。

 今までは法律に明文の規定がなく、色々と不便を強いられていた相隣関係ですが、今回の改正により、大幅に使い勝手は良くなったと考えられます。

 

ただし、相隣関係は改正されはしましたが、自力執行や権利の濫用はいけません

隣地使用権やライフライン設置権は、いくら権利があるといっても、相手から使用を拒まれた場合の自力執行は禁止されていますので、妨害禁止の判決を求める裁判が必要になります。また、枝の切取りも、実害がないにもかかわらずむやみに行使することは権利の濫用にあたりますので、注意が必要です。隣地への思いやりをもっての行動は必ず必要です。

 あくまで改正の目的は、土地利用の円滑化ですので、自分を中心に考えすぎて新たなトラブルが発生しないよう、考えて行動しなければなりません。

 

 

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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著者情報 刈田知彰

 

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