2023.05.29
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隅切りとは? 購入前の注意点など徹底解説

更新日:2024年3月12日

隅切りとは 注意点を解説

 

 

 

角地のメリットについてはこちら
https://www.chukokodate.com/column/detail/?p=34

 

 

はじめに隅切りとは?

家を建てる場合、角地は家の建ち方によっては日当たりも良く、少なくとも2面以上道路に接しているため人気です。しかし、忘れてはいけないのは「隅切り(すみきり)」がある点です。

 

この記事では、角敷地の建築制限といわれている「隅切り」について詳しく紹介します。

 

隅切りとは?

隅切りは、道路が同一面で交差・接続・屈曲する箇所(角地)に設ける建築制限のことです。

角敷地の建築制限の事を隅切りと呼んでいます。角地に建物を建てる際に道路に面している角を切り取って基本的には道路状にすることを指します。

隅切りの図

立川市ホームページから引用

隅切りを行う理由としては道路の交差部の見通しを良くしたり車や人などの通行に関して安全を確保したりするためであり、空き地にした部分に交通の妨げとなるような塀や門を建てることも禁止となっています。

 

ただし、東京都では「道路状の面からの高さが4.5mを超える部分はこの限りではない」となっており、こういった例外もあります。隅切りの規定は自治体によって異なるため家を建てたい自治体の役所に確認する必要があります。

隅切り接道が6メートル以上

上記の図(立川市ホームページから引用)のように幅員が6メートル以上ある場合は隅切りは不要です。

もし角地に該当する場合、そして隅切りの必要がある場合は、それを考慮しながら家の構造をどのようなものにするか計画を立てましょう。

現在検討中の土地が角地の場合、万が一の場合、隅切りの状況によっては、思ったような家が建たない可能性があり、早急に手だてを検討する必要があるかもしれません。

 

自治体によって異なる隅切りの基準

隅切りには次の2種類があります。

 

❶建築物の敷地として単に建築・工作物が制限される場合

❷道路に供される場合

 

建築基準法に基づく位置指定道路を整備する場合や都市計画法に基づく開発行為による道路を整備する場合には、交通安全上の視点から隅切り(角地)を整備することを要求しており、これは❷の道路に供されるため、道路工作物以外はつくることはできません

 

一方で、❶については、自己敷地として建築物や工作物の設置が制限されるのみですが、建築物を建築する場合に隅切りの必要性を調べることとなるのは❶のケースです。

 

ただし、隅切り(角地の建築制限)に関するルールは建築基準法自体には規定はないです。

 

つまり、建築基準法や建築基準法施行令(政令)、建築基準法施行規則(省令)を読んでも隅切り(角地の建築制限)は記載されていないです。

 

では、どこに隅切りのルールが規定されるのかと言うと、建築基準法に基づき道路と敷地との関係から付加することができる各特定行政庁(都道府県知事、指定都市長等)の条例により決められています。

*名称:建築基準法施行条例、東京都建築安全条例など、

 

つまり、国が定めているのではなく、国は隅切りの具体的な基準は各自治体に任せるとしています。

隅切りをしなければいけないものは都道府県の一般的な道路・私道(開発道路・位置指定道路)などです。

 

また、隅切り部分の取り扱いには、位置指定道路など建築基準法による制限にあたるものと、各自治体の条例にあたるものの2種類があります。

 

前者は隅切り部分が建築基準法上の道路の扱いとなるため、その部分は道路として考えることになります。特に気をつけなければいけないのが後者で、各自治体の条例によるものについては各自治体によって対応が異なるため、役所で必ず確認が必要です罰則規定がある場合もありますので、条例をよく確認しましょう。

 

 

隅切りの一般的なルール

多くの自治体では「道路幅員6m未満の道路が交わる角(120度未満)に接している敷地では、空き地(1辺が2mの2等辺三角形の部分が多い)としなければならない」と定められています。

隅切り120度以上

(図足立区ホームページ引用)

ただし何度も申しますが、道路の幅員や、長さの数値については自治体によって変わりますので、前もって自治体の役所で調べておくとスムーズに計画を進められるでしょう。

役所で聞く際は、おそらくどの自治体でもまずは「建築指導課」に問い合わせてみるとよいでしょう。

 

隅切り部分は誰が管理するの?

隅切りした土地は、道路の一部になるという点から管理する人について、疑問が生じるかもしれません。

隅切りの基準が各自治体によって異なるように、管理する人についてもそれぞれ異なります。とはいえ、基本的には隅切りをしても所有権については敷地所有者になっている場合がほとんどです。

 

自治体によっては隅切りした部分を道路状に整備しなければいけないと定めているところや空き地にするだけで良いと定めているところもあります。

隅切りした部分については、買取制度や寄附制度、固定資産税の課税免除を設けている自治体があるほか、道路状に舗装をする際にかかる費用の助成金や、補助金などが出る制度もあります

 

ただし、これらについても各自治体で違うため、確認しておくことをおすすめします。

 

隅切りに関するトラブル

角地に家を建築する際、自治体によって隅切りの規定が異なることについて解説してきました。ここからは隅切りに関して発生する可能性のあるトラブルや注意事項について解説していきます。

 

建築確認申請時の隅切り部分の取り扱いについて

戸建てなどのある程度の大きさがある建築物を建てる場合には、必ず建築確認をしなければいけません。建築確認とは建築計画が建築基準法を含むさまざまな建築関係の法律に適合しているかを確認することを指します。角地で家を建てる場合も同じで、隅切りを含めて建築確認が行われます。

 

角地に家を建築したときには、隅切りした部分に塀や門などを建てることが禁止されていますが、建築確認において建ぺい率・容積率を計算するときには、敷地面積に隅切りした部分の土地を含めることが可能です。

 

つまり隅切り部分を利用することはできませんが、計算に含めたことによってその分だけ、大きな家を建築することができるようになります。できるだけ大きな家を建てたい場合には、こういった点についても覚えておくと便利です。

 

ただし、隅切り部分だけを分筆して、自治体に買取してもらっている場合や寄附することで名義が自治体になっている場合は、敷地面積には含めることはできないので注意が必要です。

 

注意点その1 既存不適格建物になってしまう可能性がある

もし隅切り部分を自治体などに買取してもらった場合は敷地面積に含まれないため、建ぺい率・容積率の上限ギリギリまでの家を建築してしまうと、既存不適格違反建築物になってしまう可能性があります。

 

その場合売却の際に困ることになる可能性がありますので、注意が必要です。

 

注意その2 土地売買時の隅切り部分の取り扱いについて

一般的にいずれ隅切りをする予定の部分についても、土地の売買対象となります。

このような土地を売買する際には、不動産重要事項で隅切り部分についての説明を行う必要があります。さらに、その土地と接している道路が私道の場合、隅切り予定部分に関しては私道の一部として扱われることもあるため、注意が必要です。

道路が私道の場合は、売買をする前に隅切り部分の扱いについて確認しておくことで、スムーズに話を進めやすくなります。

 

隅切りをすでに行っている土地の売買においては、分筆登記しているかが焦点となります。もし分筆登記を行っており、すでに隅切り部分が自治体の土地になっている場合は、その部分については売買の対象にはなりません。

そのため、その部分を省いた土地の分だけ計算します。逆に分筆をしていない場合は、土地と同じ名義あるいは土地と一体扱いとなるので、売買対象になります。築年数が古い物件の場合地積測量図もなくどうなっているかは調査してみないと分からない場合もあります。

 

 

注意点その3 隅切りに石を置く理由とは?

隅切りに土地の所有者が石やブロックなどを置くことがありますが、これを隅切り石と呼びます。

隅切り石を置く理由としては「所有権の主張」「壁がこすられるのを防止」「ゴミのポイ捨て防止」などの理由があります。

 

ですが、道路交通法第76条では「何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。」と定められており、隅切り石を置く場所によっては違法性があると考えられる場合もあるため注意が必要です。

 

まとめ

ここまで、ご覧頂きましたが、再三お伝えしていますが、自治体ごとに隅切りに関する規定を確認しよう

 

隅切りが必要ではありますが、角地は、日当たりが良いことや開放感があることから家を建てる人からの人気があります。

角地に建物を建てる際には、建ぺい率の角地緩和などがあり、角地特有のルールなどがあったり道路斜線制限などの影響を受けやすくなったりと注意すべき点が多くなります。

 

中古住宅をお探しの際に気に入った土地が角地だった場合、その土地では隅切りはしてあるのか、していなければどの程度しなければいけないか、その部分の管理は誰がすることになるのかなど、確認をしましょう。

 

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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著者情報 刈田知彰

 

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