2023.09.27
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リノベーションとリフォームの違い:正確な意味とどちらを選ぶべきか

更新日:2024年3月21日

リノベーションとリフォームの違い 正確な意味とどちらを選ぶべきか

 

 

 

1.はじめに

 住宅やオフィスの改修を検討する際、よく耳にする「リノベーション」と「リフォーム」ですが。しかし、これらの意味の違いを正確に理解している人は少ないかもしれません。本コラムでは、建築におけるそれぞれの定義と特徴を明確にし、あなたのニーズに最適な選択をサポートします。

2.リノベーションとリフォームの意味

 英語でも「renovation」と「reform」という言葉がありますが、

 英語の「renovation」はカタカナ語のリフォームとリノベーションに近い意味合いで使用されますが「reform」は組織改革や内閣改造のような、ものごとや、制度・法律の変更に対して使われる言葉で、「reform」は住宅の改修という意味ではあまり使われない

 

 先にお伝えしておきます。実はリノベーションとリフォームの違いに明確な定義はありません。が一般的には下記のように言われています。

 

 リノベーションとは、既存の機能やデザインを大きく変え、新しい価値や機能を付加する工事の事を指します

 

 例えば、分かりやすいのがマンションなど、間取りを初め、設備はもちろん、内装や配管などすべてをゼロから考え直し、機能を刷新し、新しい価値を生み出す改修のことです。戸建てのリノベーションの場合は基礎や外塀、屋根なども関係してきます。

 

 リノベーションの本来の意味は「再生」や「生まれ変わり」です。

 

 リフォームの本来の意味は「形を整える」や「修繕する」という意味です。

主に既存の形や機能を維持しながら、部分的な改修や補修を行う工事を指します

 

 リフォームは、時間を経て汚れて古びた内装を新築の状態に近づけるための改修です。例えば、壁紙を新しく貼り替える、古くなったキッチンを新しいものに取り換える、等が挙げられます。部分的な改修工事や表層的な改修工事で、古くなった住まいを新築当時に近い状態に原状回復するために行わる工事をリフォームといいますが、古くなっていなくても設備の交換などはリフォームと呼ばれます。

 

 キッチンやバスルームの設備交換、壁紙の張り替えなどをリフォームといいますが、しかし、キッチンにせよバスルームにせよ現在の設備は過去のそれよりも性能が付加されています。そういった意味ではリフォームとリノベーションを明確に線引きするのは難しいのです

 

3. リノベーションとリフォームの主な違いのポイント

主な違いを目的・規模・コストにわけて解説します。

目的

リノベーションは機能の向上リフォームは価値の再生になります。

 

規模

リノベーションはリフォームに比べて大規模な工事が多くなります。リフォームは小〜中規模を指すことが多いです。最近は「フルリフォーム」など大規模なリフォームも人気です。フルリフォームはリノベーションの方に近い意味合いになります。

 

コスト

当然コストも工事の規模に合わせて異なります。リフォームの場合は予算に応じて工事内容を決めやすく、コストに合わせて工事内容を決めやすくなります規模が大きくなりやすいリノベーションはコストも大きくなりやすく、工事の影響する範囲を多くなるので、(一部ではなく全部の工事になりやすい)金額の微調整も難しくなります

 

 

4. リノベーションとリフォームどちらを選ぶべきか

リノベーションとリフォームどちらを選ぶべきか、ニーズに合わせて選択が望ましいと思います。新しい価値を求めるならリノベーション、部分的な改修や維持を希望するならリフォームが適しています。

 

5.スケルトンリフォームという選択肢

 スケルトンリフォームをご存じでしょうか。

「スケルトン」には、骨格という意味があります。

 

 建築では、骨格という意味からこの「スケルトン」を構造体を指しています。つまり、建物を一旦骨格(骨組)の状態に、構造躯体の状態にして行う改修工事を「スケルトンリフォーム」と呼んでいます

 

 1960年代のオランダのニコラス・ハブラーゲンという建築家が提唱したオープンビルディングという設計の概念で、簡単に説明すると、日本でいうマンションで「共有部と専有部を分けて考える」考え方がもとで戸建て住宅でも「スケルトン・インフィル」という考え方が一般的になってきました。

 マンションの構造躯体のスケルトン部分の鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートは100年以上、利用できるのにインフィル部分である、室内の設備や配管などが先に利用できなくなってしますので、インフィル部分が先に利用できなくなることを前提に建築しましょうというわけです。

 木造一戸建てであれば、基礎、柱と梁の木組みの状態まで解体し、マンションであれば、コンクリート躯体の状態まで解体して、スケルトン状態にして新たに間取りなど「インフィル」を新たに造っていく工事になります。

 これは、スケルトン(骨格)とインフィル(住戸内の内装・設備等)を分けて考える発想が生まれたことが大きな要因かもしれません。インフィルとは充填したり、詰め替えをいいますが、ここではインフィルを住んでから変えられるものつまり、躯体以外の間取りを含む内装や設備、断熱材等を指して使うことから、居住空間まで含めて使われいます。対してのスケルトンは、変えられないものつまり、頑丈で良いスケルトン(変えられないもの)を作っておけば、インフィル(住んでからかえられるもの)はライフスタイルの変化に応じて変更しながら、長く暮らしていける家にすること可能になるのです

 

 戸建て住宅のスケルトンリフォームは、このように躯体を生かし、今後長期的に安心して暮らしていけるようスケルトンを補強をして、現在のライフスタイルに合った間取りや設備へ自由に変更できるリフォームを行います

 

 

スケルトンリフォームとリノベーションの違い

 スケルトンリフォームと混同して使われる言葉に「リノベーション」という言葉も、最近では一般的に使用されるようになりました。「リノベーション」の意味はもともと「再生」や「生まれ変わり」という意味です。現在の状態に新たな機能や新たな価値を付加する工事という意味合いで使われます。

 

 家全体を耐震補強や断熱補強したり、2世帯住宅への変更など、使用の用途を変更したり。このような新たな価値を持たせるような、機能変更を加する場合に「リノベーション」という言葉を用いますつまりこのように新たな性能を上乗せしたり性能を上げるリノベーションの、手段として、用いられるのが、スケルトンリフォームというわけです。簡単に言えばリノベーションの中に、スケルトンリフォームというジャンルがある。と考えるとわかりやすいのではないでそうか。

リフォーム工事解体後スケルトン状態の写真を4枚まとめた

 また、一口に、「スケルトンリフォーム」と言っても対象の建物によって、工事の内容も異なります。構造体の代表的なものには、木造、鉄骨、鉄筋コンクリート、木造&鉄骨、あるいは木造&鉄筋コンクリートの混構造などがあり、構造躯体自体の仕様が違いますし、木造と言っても軸組構造や枠組み工法など工法も異なります。また、築年数によっても補強すべき内容はことなります。その他管理や今までの改修工事内容などにもよって、スケルトンリフォームも建物に合わせていくつか種類がございます。

 

 

6.まとめ

「リノベーション」と「リフォーム」、似ているところもあれば、全く違う意味を持つことを解説してきましたが、大事なことは、あなたの住まいのニーズに合わせて、最適な選択をすることです。ご紹介したように「スケルトンリフォーム」という考え方もあります。「スケルトン」骨組みしっかり作っておけば「インフィル」居住空間は部分的に変えることができます。スケルトンリフォームの最大のポイント、醍醐味ともいえますが、なんといっても、既存の建物の性能を大幅に上げることができることです。つまり、立地が気に入った物件がありました。しかし、古い建物が建っている今まではこれらの物件は建て替えという選択肢を選んでいましたが、既存の建物を利用しないのはもったいなくないでしょうか。スケルトンリフォームこれらの既存住宅を有効に利用することができるのです

 

マンションのスケルトンリフォームであれば、造作工事がメインとなるため、仕上がりやデザイン重視で工事をされるのは大変良い事だと考えますが、戸建て住宅では仕上がり以上に大切なポイントとして、長期間安心して暮らせる安心を担保してくれる「耐震工事」と長期間快適な生活を約束してくれる「断熱工事」を推奨させて頂いております。

 

 

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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